先の大戦と酷似 デマと精神論が蔓延するコロナ禍ニッポン
先日面白い記事を読んだ。「婦人公論.jp」が猪瀬直樹の「昭和16年夏の敗戦」を紹介した文章だが、現在わが国で発生している状況に極めて近いと感じた。昭和16年12月、日米開戦の8カ月前に「総力戦研究所」がつくられ、「官民各層から抜擢された有為なる青年」36人が全国から集められた。条件として挙げられたのは、「人格高潔、智能優秀、身体強健にして将来各方面の首脳者たるべき素質を有するもの」だった。彼らは闊達な議論を行い、あらゆるデータを集め、開戦後のシミュレーションを繰り返し、「緒戦、奇襲攻撃によって勝利するが、長期戦には耐えられず、ソ連参戦によって敗戦を迎える」との結論に達した。見事にそれは的中する。
しかし日本は開戦に踏み切った。なぜか?
開戦後の石油保有量を予測した数字が出たからだ。戦争を始めたい勢力はそれに飛びついた。たとえ「客観的」なデータであっても、解釈するのは人間である。
今回の新型コロナとの戦いにおいても愚行は繰り返された。2020年2月16日、官邸にエリートが集められた。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議である。安倍晋三周辺は、彼らが出した予測を無視し、妨害してきた。国民の生命より財界の意向を重視し、専門家会議をネグって緊急事態宣言の解除を決めた。