プーチン大統領の北方領土「経済特区」構想に透ける“日米同盟分断”の思惑

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 菅政権に新たな揺さぶりだ。ロシアのミシュスチン首相が26日、北方領土の択捉島を訪問。経済特区構想をブチ上げた。平和条約締結の足掛かりとして、安倍政権下で交渉が始まった北方4島での共同経済活動は宙に浮いたまま。手をこまねいている間に、プーチン政権のいいようにやられかねない。

 首相として2年ぶりに北方領土入りしたミシュスチンは、現地に進出する企業の関税や所得税を免除し、経済を活性化する新制度の検討をアピール。「西側の投資家にとって興味深いだろうし、日本もここで仕事ができる」と挑発した。

 共同経済活動を巡り、日本側は主権をあいまいにして双方の法的立場を害さない「特別な制度」を求めているが、主権を主張するロシア側がのまず、交渉は膠着状態だ。プーチン大統領の狙いは何か。筑波大教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。

西側にもウマミ

「目的は北方領土からの日本排除です。北方4島を含む極東地域の経済発展を急ぐロシアは、外国資本による活性化を期待している。2016年12月の長門会談で、安倍前首相との間で共同経済活動に合意したものの、一向に進まず方針転換したのです。ミシュスチン発言の『西側の投資家』とはズバリ米国のこと。政治的に米ロは対立していますが、民間は別。国後島に入港する米企業運航のクルーズ船は人気を集め、色丹島では米キャタピラーが事業参画した発電所が運用中です。米国の投資家にとって北方領土はポテンシャルが高く、食い込みたい案件なのです」

 ミシュスチン訪問について、茂木外相は「日ロ関係に資するものでは到底ない」との談話を発表。特区構想について、加藤官房長官は「具体的なコメントは差し控える」と型通りの対応でお茶を濁しているが、ウカウカしている場合なのか。

「ロシアの一連の動きは日本への最後通牒であり、米国へのサイン。返還する気はない北方領土を巡り、プーチン大統領が日米安保条約にたびたび言及しているように、日米同盟は目障りでしかない。北方領土に米企業が進出すれば、日本との関係はこじれる。日米分断も狙いなのです」(中村逸郎氏)

 コロナ禍の五輪開催で大混乱している隙に、ドーンときたもんだ。 

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