プーチンがベラルーシに戦術核配備 戦意を煽った中ロ首脳会談スレ違いと「必勝しゃもじ」
勝機の見えないウクライナ戦争にイラ立つロシアのプーチン大統領が再び核使用をチラつかせ始めた。25日の国営メディアのインタビューで「米国は長年、NATO(北大西洋条約機構)の欧州領土に戦術核兵器を配備してきた。ベラルーシとの間で同様の合意に達した」と発表。ウクライナに隣接する友好国のベラルーシに戦術核を配備するとし、保管施設を7月までに建設するという。核兵器を搭載できるベラルーシ空軍機10機が配備されているとも明かした。
ベラルーシにはすでに核弾頭を搭載できるロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」も配備されている。プーチンが熱烈に要請していた中国の習近平国家主席の訪ロが実現し、中ロ蜜月を世界に見せつけた直後のエスカレーション。この間、一体何があったのか。
■中ロ蜜月どころかすれ違い
「連携が強化されたと報じられている中ロ首脳会談の実態はすれ違いでした。プーチン氏は天然ガス輸出の得意先である中国向けにモンゴル経由で新パイプライン『シベリアの力2』を建設し、供給を増やす腹積もりでしたが、習近平氏が首を縦に振らなかった。というのは、中国の輸入先はロシア、トルクメニスタン、カタール、豪州の順で、ロシア依存を深めるのはリスクと判断したためです。期待していた武器供与も断られ、中国に完全に見下された格好となり、プーチン氏の孤立はむしろ深まった。この1週間、プーチン氏にとっては腹立たしい出来事が立て続けに起きています」(筑波大名誉教授・中村逸郎氏=ロシア政治)