高校サッカー初優勝 “純血チーム”富山第一「勝者の弁」

公開日: 更新日:

 劇的ではあった。残り3分から、2点差をひっくり返しての初優勝。富山第一が石川・星稜との北陸対決を制し、国立に詰めかけた4万8295人の観衆は大いに沸いた。

 0―2の後半42分に1点を返し、ロスタイム終了間際にPKで同点。それまでもベンチを飛び出して声を張り上げていた大塚監督(49)は、次男のMF翔がPKを蹴る際にはサイドラインに両ひざをつき、祈るように天を仰いでいた。延長を含めた110分の間、選手以上に興奮しまくっていた指揮官だが、サッカージャーナリストの六川亨氏はこう評価する。

「富山第一は今回の登録メンバー25人のうち23人が地元出身。私立校でありながら、全員が親元から通学しているという“純血”チームです。全国Jリーグのジュニアユースからあぶれた選手を集めるのではなく、地域密着でチームを強化した。旧来の選手育成、チーム強化に一石を投じたという点は評価したい。イングランドへコーチ研修に行った経験がある大塚監督は、<名門チェルシーもクラブから1時間圏内に自宅のある選手を集めてユースを強化していることを知り、自信を持った>と言っていた。選手だけでなく、高校サッカーの指導者のレベルも上がっている証拠です。サッカー王国とはいえない県の両校が初の北陸対決を戦ったことでもそれは証明されます」

 大塚監督は試合後、「田舎の選手でここまでやれた。日本の育成も変わるのでは」と言った。強豪校や高校野球の関係者に聞かせたい。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う