著者のコラム一覧
小倉清一郎元横浜高校野球部部長

1944年(昭19)6月16日、神奈川県横浜市生まれの71歳。横浜―東農大を経て三菱自動車川崎―河合楽器で捕手として活躍。現役引退後、東海大一(現東海大翔洋)―横浜―横浜商―横浜で監督、部長を歴任。松坂、成瀬、涌井、筒香ら多くのプロ野球選手を育てた。98年の春夏連覇を含め、3度の甲子園優勝。渡辺前監督を支える名伯楽として主に技術面を指導した。対戦校の投手陣や打線の戦術分析に定評があり、名参謀と呼ばれた。14年夏限りで横浜のコーチを退任。現在は山梨学院や熊本・城北など、全国の各校で臨時コーチを務める。

夏に明るい材料なし 一度チームを解体する

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■新1年生にもチャンス

 力がなかった。27日のセンバツ1回戦で横浜は八戸学院光星(青森)に5―9。先発した左腕エースの伊藤将司(3年)が三回に打者9人に4安打を浴びて5失点。投手陣が15安打9失点の完敗だった。

 マスコミに優勝候補と持ち上げられても、2月の段階では「甲子園では苦しい」と感じた。それが、3月になって練習試合が始まると急に内容が良くなった。私もある程度の手応えを感じ、全員が「いける」と勘違いしてしまった。

 練習試合で好投しても伊藤に球威がないのは気になっていた。直球は通常なら130キロは超えるが、この日はほとんどが120キロ台。1回戦最後の登場で待つ期間が長かった上、雨で1日順延した日程も災いした。通常2日前から練習量を落として調整するものが、3日前からになり、走り込み量が少なくなった。ただ、相手も同じ条件だから言い訳にはできない。

 大会中だから明かさないが、光星の1番・北條君(3年)、5番・蔡君(3年)、8番・馬場君(2年)などのキーマンの弱点は練習試合を視察して「小倉メモ」に記し、バッテリーと入念に対策を練っていた。それでも130キロに届かない直球で抑えられるほど、光星打線は甘くなかった。

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