日本シリーズが「セクシー」じゃなくなった

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 なんかモヤモヤするな……。今年の日本シリーズを見た感想だ。パ1位のソフトバンクとセ2位阪神の対戦。ソフトバンクが4勝1敗で日本一となり、秋山監督が有終の美を飾ってホッとした。対戦相手が決まった段階で、2位のチームが優勝チームに勝って日本一になっていいの? という気持ちがあったからだ。

 今の日本シリーズは07年のCS導入により、真の日本一を決定する「日本シリーズ」ではなくなった。「クライマックス×クライマックス」と呼ぶにふさわしい。原作ではセ3位とパ2位による対決を描いた。これならまだ割り切ってどっちが勝つかを楽しめるが(1位チームが絡んでないので)、やっぱり日本シリーズは優勝チーム同士の頂上決戦であってほしい。シリーズの価値はそこにあると僕は思う。CSから日本シリーズという流れができて、レギュラーシーズンも強く印象に残るペナント争いがなくなった気がしてならない。

 88年、近鉄とロッテのダブルヘッダーが行われた「10.19」には感動した。近鉄は2連勝がリーグ優勝の条件。僕はあの日、15時開始の1試合目を外出先でラジオで聞き、帰宅して2試合目をテレビでずっと見ていた。エースの阿波野が連投、ロッテ有藤監督が猛抗議……。いろんなことがあって最後は規定の4時間超えで引き分け。意気消沈しながら十回裏の守りにつく近鉄ナインの姿も印象的だった。2試合が終わるまでの約8時間、ずっと引き込まれていた。巨人中日との優勝決定戦となった94年の「10.8」もそう。一発勝負だからドラマも生まれる。もし、あの後にCSがあってこの優勝が覆ってしまったら世の中はどうなっていただろうか?

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