まるで“武士” バットを右肩に眼光鋭くが「清宮スタイル」
■硬球を破壊するパワー
幸太郎は今、バットを右肩に担いで打席に向かう。鋭い眼光を向け、投手を威嚇するような立ち居振る舞いは、刀を担いだ武士のようにも映る。
「中学時代から変わりませんね。本人が自分で決めて、それが幸太郎自身の『シンボルマーク』というか、これが俺なんだという意思表示をしているんだと感じていた。勝ち気の強い投手だと、『何だそのえらそうな態度は。このヤロー!』って思うかもしれませんけど、どんな相手でも、常に全力で真剣勝負がしたかったのだと思います」(同)
13年11月、中2の秋に行われた笠間市長杯の友部シニア戦。幸太郎はバックスクリーン横に特大の本塁打を放った。そのホームランボールを見ると、バットが当たった衝撃で硬球がポコリとへこんでいた。
「ボールを壊したのは驚きましたし、その打球も凄かった。ゆっくりゆっくりと打球が空へ昇っていくような感じで、白線が引かれたように、その軌跡が見えた気がした。ゴルフの打球のように下から上へグンと伸びるのではなく、真っすぐ伸びていって、気づいたらセカンドを越えてバックスクリーン右横にボールを置くように落ちた。ああ、入っちゃったって感じですよ。130メートルは飛んだかもしれませんね」(同)
打者として規格外のスケールを見せた一方、必ずしも順風満帆といえる2年半ではなかった。