角界の“見えない狂気” 元熊ケ谷親方初公判で改めて浮き彫り

公開日: 更新日:

 ベテラン相撲記者は「以前は『相撲部屋に暴力は付きもの』と誰もが疑っていなかった」と、こう話す。

「親方衆の多くは、指導のためなら何をやっても許されると心から信じていた。自分も殴られて育ってきたからです。新弟子もそうした噂を聞いているので、ある程度は覚悟をしている。『やりすぎじゃないか』と疑問を抱いても、周囲は当たり前のことと受け入れていますからね。次第に自分の考えの方が間違っているような錯覚に陥り、しまいには『これも伝統なら仕方ない』と受け入れてしまう。一種の洗脳、宗教に近い」

 07年の時太山暴行死事件以降は、稽古場など人目につく場所での暴力は減った。が、完全になくなったわけではない。事件以降も13代目鳴戸親方(元横綱隆の里)、春日野親方(元関脇栃乃和歌)らの暴力が報じられた。厳しい稽古も暴力もまとめて「かわいがり」という言葉を使う角界のことだ。暴力への忌避感はないに等しいに違いない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 2

    クマが各地で大暴れ、旅ロケ番組がてんてこ舞い…「ポツンと一軒家」も現場はピリピリ

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    安倍元首相銃撃裁判 審理前から山上徹也被告の判決日が決まっている理由

  5. 5

    ドジャース大谷翔平が直面する米国人の「差別的敵愾心」…米野球専門誌はMVPに選ばず

  1. 6

    マツコ・デラックスがSMAP木村拓哉と顔を合わせた千葉県立犢橋高校とは? かつて牧場だった場所に…

  2. 7

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の抑え起用に太鼓判も…上原浩治氏と橋本清氏が口を揃える「不安要素」