吉井氏ハム復帰はレアケース プロ野球にはびこるコネと情実

公開日: 更新日:

 当時を知る者なら、驚かずにはいられない。

 29日、日本ハムが都内で吉井理人ソフトバンク投手コーチ(50)の復帰を発表したのだ。

「最初は大学院で研究の道に進もうと思っていたんですが、球団に熱心に誘われて……。『栗山監督も来てくれ、と言っている』と。僕もまだグラウンドで十分やれる年齢だし、断る理由もなかったので引き受けることにしました」

 こう話した吉井コーチと栗山監督(54)、ひな壇に並んで座った2人には因縁がある。

 栗山監督が就任1年目でリーグ優勝した12年オフのこと。吉井コーチは監督との考え方の相違を理由に退団した。具体的には投手の起用法や継投のタイミングだったといわれる。

 日本ハムはそんな吉井コーチを4年ぶりに、しかも栗山監督が指揮を執っている現状で復帰させたからビックリ。2人はうまくいくのかとクビをひねりたくなるのが自然だろう。

 日刊ゲンダイは会見で退団時の経緯も含めて質問したところ、吉井コーチはこう答えた。

「監督とどうこうということはありません。チームの中にいると、意見の食い違いというものは絶対にある。当時はそのことで選手に迷惑をかけてしまったから、辞めさせてもらったのです」

■GMは「能力」

 とはいえ、監督とコーチという立場が変わらない以上、今回も「意見の食い違い」は生じるだろうし、それが火種に発展する可能性もある。

 そんなことは百も承知しているはずのフロントが、あえて吉井コーチを招聘したのはなぜか。

 吉村GMはひと言、「能力」と言った。

 要するに日本ハムのフロントは、吉井コーチの手腕や能力を高く評価している。現体制以上に勝つ可能性がアップすると判断したからこそ、火種になる可能性もある吉井コーチをわざわざ呼び戻したのだ。

 実際、吉井コーチが日本ハムの一軍投手陣を束ねた4年間は、リーグ優勝2回(09、12年)に3位(08年)と2位(11年)が1回ずつ。すべてAクラスをキープしたものの、二軍にいた10年は4位だった。

 そして退団してからの3年間は6位、3位、2位。今季は2位だったとはいえ、ソフトバンクに大きく水をあけられてのもの。3年に1度、リーグ優勝するペースも崩れてしまった。そんな背景があっての吉井コーチ招聘なのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  2. 2

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  3. 3

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  3. 8

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  4. 9

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  5. 10

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃