著者のコラム一覧
権藤博野球評論家

1938年12月2日、佐賀県鳥栖市生まれ。鳥栖高からブリヂストンタイヤを経て61年に中日入り。1年目に35勝19敗、防御率1.70という驚異的な成績を挙げ、最多勝や沢村賞などタイトルを総ナメに。連投に連投を重ねる姿に「権藤、権藤、雨、権藤」の流行語が生まれた。68年に現役引退後は各球団の投手コーチを歴任。横浜で初の監督に就任した98年にはいきなりペナントを制し、38年ぶりの日本一に導いた。

日本式キャンプの無意味さ 10年ぶり巨人復帰の上原が証明

公開日: 更新日:

 上原浩治(42)が巨人に復帰し、がぜん興味が湧いてきたことがある。

 10年ぶりに戻ってきた日本球界で、彼がどれくらいの成績を残すか――ということではない。

 来月3日で43歳になるものの、カブスで49試合に登板した昨季も、投げるボールに衰えは見えなかった。

 全盛期に比べたら球速こそ落ちたとはいえ、140キロちょっとのストレートでメジャーの強打者と渡り合っていた。特有のコンパクトで鋭い腕の振り、抜群のキレと制球力があるからこそで、だから決め球のフォークもいよいよ効くのだ。

 昨季は43イニングで50奪三振。メジャーでは、8年連続で奪三振数が投球イニング数を上回っている。スピードに頼らない上原の投球には、年齢からくる衰えによる影響が少ない。巨人でも間違いなく戦力になる。

 気になっているのは、別のことである。

 具体的な数字はともかく、上原が今季、セットアッパーとして1年間、フルに働いたとする。そのとき、球界の内外から「やっぱり日本式のキャンプってバカらしくないか?」と疑問の声が上がるのではないか。それに期待しているのだ。

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