著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トランプ政権批判で…MLBにのしかかるメキシコの麻薬問題

公開日: 更新日:

 英国のフィナンシャル・タイムズと米国のピーター・G・ピーターソン財団が発表した米国の世論調査で、「中国やメキシコなどとの貿易戦争が米国経済にとって最大の脅威」と回答した者が27%いたことを考えると、トランプが一時は延期した経済制裁の実施を取引材料に、メキシコに具体的な麻薬組織対策を要求することもあり得る。

 こうした状況は、大リーグ機構にとっても他人事ではない。今季、大リーグの試合に出場したメキシコ生まれの選手は15人で、米国以外で生まれた選手の数としては第5位。1996年以来、断続的に公式戦を開催、市場の開拓を進めている大リーグにとって、北米圏以外で最大の日本市場も飽和状態を迎える中、順調な経済成長を遂げているメキシコは将来性ある有望な市場である。そのようなメキシコに対し、米国が経済制裁を行えばどうなるか。

 子どもの犠牲者という米国民が特に憎む事態に至ったのだから、道義上、機構側は政府の措置に反対はしにくい。しかも制裁が発動されればメキシコ経済の成長が鈍化し、開拓してきた市場が崩壊することも明らかだ。自らは管理できない他国の麻薬問題だけに、大リーグ関係者も事態の推移をもどかしく眺めるしかないのである。

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