春夏の甲子園中止が暗い影…準主力選手の進路が不透明に

公開日: 更新日:

 コロナ禍による夏の甲子園大会中止で、高校3年生球児の運命は大きく変わることになる。

 休校や練習休止中、全国の強豪校の指導者は、大学や社会人への進路サポートに動き出していたという。

 大学のスポーツ推薦は、全国大会や甲子園出場などの条件を基準にしているケースが多い。にもかかわらず、アピールの場が失われてしまった。「そのため高校側から大学側へ、電話や時には映像提出といった売り込み合戦が、あちこちで行われていました」と明かすセンバツに出場予定だった関西の強豪校の関係者によれば、「うちの主力、レギュラークラスは、大学や社会人など、だいたい進路のメドは立っています」というから驚きだ。

 選手をプロ野球に送り込むだけでなく、最近は早大、慶大、立大といった名門大学への進学にも力を入れる大阪桐蔭の西谷監督や興南の我喜屋監督は、大学だけでなく、アマチュア野球関係者と連絡を密に取っていたと、一部スポーツ紙が報じている。

 前出の関係者が続ける。

「ただ、問題があります。売り込み合戦といっても、映像などの資料を用意できるのは、下級生から試合に出ている主力や昨秋の公式戦の実績があるようなレギュラークラスに限られる。夏の甲子園どころか、練習試合もできず、県単位の独自の大会があるかないか分からない状況で、大学側に売り込めない、切り捨てられる格好になるのは『強豪校の背番号2ケタの2番手クラス』、それと大学と結びつきがあまり強くない『中堅校の選手』でしょうね。プロではなく、大学で野球を続けていけるこのレベルの選手が、完全にアピールの場を失い、不完全燃焼のまま野球を断念せざるを得なくなる。だから独自の大会をやるなら『3年生』に限定した方がいいのではないか、という声が一部で上がっています」

 前例のない春夏甲子園中止は、こんなところにも暗い影を落としている。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う