著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

日割額補償で合意 サラリーキャップ制阻止は選手会の成果

公開日: 更新日:

「収入の折半」とは試合数の減少に伴う選手の年俸の削減額を巡る交渉の中で出された案であり、選手に支払う年俸の上限を「球団の収入の半分」とすることは、実質的な年俸総額制(サラリーキャップ制)に他ならない。

 大リーグは米国4大プロスポーツの中で唯一サラリーキャップ制を導入していない。また、経営者にとっては制度の実現が悲願であり、選手会にとっては阻止以外の選択肢はない。

 もちろん、「かつてない非常事態だから」と妥協することもあり得るだろう。だが、2021年に新しい労使協定の交渉が控えている現状では、たとえ臨時の措置であっても実質的なサラリーキャップ制を認めれば、経営者側が「2020年に適用したのだから」と年俸総額に上限を設けることを既成事実とすることは明らかである。その意味で、経営者たちの非常時にかこつけたサラリーキャップ制の導入を防いだことは、選手会にとって大きな成果だ。

 そして、経営陣にとっては、今回の雪辱を果たすべく、来年の労使交渉でサラリーキャップ制の実現を期すことになる。両者の視線は、すでに2021年に向けられているのである。

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