渋野は初日から“リンクス地獄”に堕ち…なぜ歯車は狂ったか

公開日: 更新日:

【全英女子オープン】第1日

「スマイルシンデレラ」と呼ばれた1年前とは別人だった。

 ディフェンディングチャンピオンの渋野日向子(21)は初日、5オーバー71位タイとボロボロだった。

 前週のスコットランド女子オープンも通算14オーバーで予選落ち。奪ったバーディーは2日間で1つだけ。今週も荒々しいコースレイアウトに苦しみ、“リンクス地獄”に堕ちた。

 会場は男子の全英オープン開催9度を誇り、全英会場の中では最も海に近く難易度が高い。スイング改造がしっくりいっていない今の渋野では歯が立たないのは当然だ。渡英前にリンクス対策のため、「低いボールを打つ練習をした」と語っていたが、何も生かされなかった。

 初日は曇天に気温19度と肌寒く、アウトがアゲンスト風、インはフォロー風が吹くなど真逆のコンディションになった。

 時折10メートルを超す強く冷たい風が選手たちを悩ませたが、渋野はまったく対応できなかった。

 重たい海風が真正面から吹き付ける1番、2番とも番手選びを間違い、パーオンを逃して連続ボギー。4番ではバンカー脱出に3打も要してトリプルボギーとバタバタだった。

 フォロー風が強くなったインになると、ジャッジに悩まされた。2オン可能な16番パー5は、スプーンで狙った2打目がグリーンを大きくオーバーして逆目のラフにすっぽり。アプローチは6メートルもショートしてパーどまり。

 続く17番パー3もグリーンをオーバーすると、アプローチは7メートルも短く寄らずボギー。

「連覇を狙えるのは私だけ」と意気込んでいたが、ショット、アプローチ、パットのかみ合わせが悪く、「空振り」もいいところだ。

 昨年大会の会場は日本のゴルフ場に似た林間コースで、渋野は4日間とも60台をマークして通算18アンダーの勝利。それも初めての海外挑戦でメジャーチャンピオンになった。

 今年、リンクスをなめていたとは言わないが、風の中でのボールコントロールや、転がしのテクニックなどリンクス攻略のイマジネーション不足は明らかだった。

 国内で低い球を打ったからいいというものではなく、慢心があったといわれても仕方ない。そんな中で、18番バーディーは第2ラウンドにつながるせめてもの救いだった。

■米女子ツアーより国内専念

 それにしても、今年に入ってから出場した3戦はいずれもひどい内容だ。

 国内ツアー初戦で予選通過に1打足りず、スコットランドでも2週連続予選落ちの危機に立たされた。

 毎回こんなゴルフを見せられては「5大メジャー制覇」の目標も笑い話に聞こえる。

 こうなると、米女子ツアー参戦権を放棄したことが、すべての歯車が狂いだした始まりだったかもしれない。

 渋野は昨年の全英優勝により、今季は米女子ツアーに参戦できた。それを「英語が話せない」とか「実力不足」などを理由に、権利を行使せず、国内ツアー専念を決めた。

 そして年末の米女子ツアー予選会(QT)で、2021年の参戦切符を得る計画だった。

 ところが、コロナ禍で世界中のゴルフ界がストップ。国内ツアーは軒並み中止になり、年末の米女子ツアーQTも行われないことになった。来季の参戦権を得るには、今季出場できる海外の大会で優勝するしかない。計画が大きく狂ってしまった。

■筋トレ、スイング改造が裏目

 狂ったのは計画だけではない。

 渋野は今季、青木翔コーチの助言で、オフは筋トレに励み、体をひと回り大きくして飛距離を伸ばし、アプローチの引き出しも増やす練習に取り組んだ。ショットもパッティングも再現性を高めるためにアドレスを狭くしたが、リンクスでのプレーを見る限りアイアンの縦の距離感が悪く、パットもしっかりヒットしていない。スイング改造は米女子ツアーを見据えてのものだったが、ここまでのゴルフを見る限り、成功しているとはいえない。

 同世代の畑岡奈紗(21)は17年から米女子ツアーに参戦。1年目はろくに英語が話せず、コーチもおらず、単身で不慣れな転戦生活もさびしかったという。19試合で予選落ち11回と苦戦の連続だったが、同年のQTにトップ通過し、翌年の「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で、日本人最年少の19歳で米女子ツアー初優勝を果たし、すでに米通算3勝を挙げた。その畑岡は渋野が昨年、初の海外試合となった全英女子で勝ったとき、メジャー制覇で先を越されて悔しい思いをした。

 同世代の河本結(21)も、昨年のQT9位で今季は米女子ツアーでプレーしている。コースによって異なる芝質に戸惑いながらも、先月のドライブ・オン選手権では4位と、すでにトップ10入り2回、賞金ランクも24位につけ、成長を実感している。

 1年前のシンデレラストーリーはハッピーエンドだったが、歯車が狂った渋野の今後は果たしてどうなるか。

▼渋野の話「先週は2日間で1つしかバーディーが取れなかったが、今日は1日で3つ取れたので、先週の自分を超えることができてよかった。今日は風の予測がまったくつかなかった。不安を持ってスタートしたら4ホールで5オーバーになった」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • ゴルフのアクセスランキング

  1. 1

    故ジャンボ尾崎氏から原英莉花へ「声なき遺言」 下部から這い上がり今季米ツアーデビューへ

  2. 2

    「インチキ男 ジャンボ尾崎 世界の笑い物」マスターズで不正しても予選落ち(1994年)

  3. 3

    都玲華の気になる“禁断愛”の後遺症 ブレーク誓った直後に中年既婚コーチとの不倫発覚

  4. 4

    都玲華プロと“30歳差禁断愛”石井忍コーチの素性と評判…「2人の交際は有名」の証言も

  5. 5

    PGA開幕戦の“干ばつ中止”は他人事じゃない 酷暑の国内トーナメントからベントグリーンが消滅する日

  1. 6

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ

  2. 7

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 8

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上

  4. 9

    川﨑春花5試合連続欠場の裏で…たぶらかした不倫キャディーが男子開幕戦から追い出された

  5. 10

    今季の米ツアーは日本から男子5人、女子15人が参戦 「初優勝」と「連続メジャーV」を見せてほしい

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網