巨人・松原聖弥「パンチ力」の源はスタンドでの太鼓叩き

公開日: 更新日:

松原聖弥(巨人・外野手・4年目・25歳)

 焦燥と屈辱をバネに見事に這い上がった。父・秀樹さんがこう語る。

「育成の後輩が先に一軍デビューをしていく中、相当な焦りがあったようです。それに、一軍戦に一度でも出場すると、優勝した際の胴上げに呼ばれるそうですが、昨年のその日、(一軍未出場だった)聖弥は寮で独りポツンと取り残された。ものすごく悔しい思いをしたのでしょう。4年目となる今季は覚悟を持って臨んでいました」

 2016年のドラフトで育成5位として巨人に入団。2年目の18年7月に支配下契約を結んだものの、昨年まで一軍からお呼びが掛かることはなかった。俊足巧打を武器に二軍では“主力”の座を掴み、一軍のキャンプまでは経験したが、層の厚い巨人の選手に埋もれかけていた。

 今季は7月25日に初の一軍昇格。同日のヤクルト戦では、同点で迎えた九回1死一塁で代打として一軍初出場を果たすと、さっそく二塁打を放ち、首脳陣の期待に応えた。以後、先発メンバーに名を連ね、今月3日のDeNA戦ではプロ初本塁打となる3ランを右翼上段に叩き込み、お立ち台を経験。「(本塁打は)偶然に近い」と謙遜しつつ、堂々の受け答えを見せた。

 20日現在43試合に出場し、120打数29安打、打率 .242。かつて野球留学で故郷を離れ甲子園常連校に進むも、ベンチ入りすらかなわなかった男が、絶賛ブレーク中だ。

■タレント豊かな家族の次男坊

 松原は当時サラリーマンだった秀樹さんと、専業主婦の母・しのぶさんのもと、3人兄弟の次男として生まれた。秀樹さんは松原が3歳の時に脱サラし、IT会社を起業。現在は従業員数が100人を超えるほどに会社を成長させた。

 兄・侑潔さんは太田プロダクションに所属し、「ロングアイランド」というコンビ名でお笑い芸人として活動中。弟の涼雄さんはラーメン店を開業するためにカナダでの修業を経て、現在は埼玉県のとある店舗に身を置き、至極の一杯を研究中だ。

 タレント豊かな家族の次男坊について、秀樹さんはこう語る。

「幼い頃の聖弥は、野球をやってなかったらイジメられっ子になっていたんじゃないかな、と思うくらい、引っ込み思案でおとなしい子でした」

 言葉を話せるようになる前からプラスチックのバットで球を打って遊んでいたという松原が、本格的に野球を始めたのは小学1年生の頃。3歳上の侑潔さんと共に地元の生野ボーイズの門を叩いた。その後、小学3年で更なる境地を目指して県内の強豪である八尾フレンドボーイズへ移籍。中学に上がると大東畷ボーイズで汗を流した。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束