今度は福留が退団 功労者を冷遇する阪神と矢野監督の愚行

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功労者冷遇の悪しき伝統

 プロ22年目を迎える福留は、ここまで歴代12位の日米通算2407安打をマーク。00年代の常勝中日では主力として活躍、メジャーでも一定の成績を残した。後輩選手の面倒見も良く、指導者としての資質を評価する声もあった。前出OBが続ける。

阪神は指導者の人材不足が顕著。矢野監督の采配下手はもちろん、リーグワーストの73失策のザル守備には改善の兆しが見えず、バントミスや拙攻も相変わらず。経験豊富で指導者としての適性がみえる福留のような人材は阪神にとって貴重なのに、いとも簡単に放出する。昨年は鳥谷を退団に追い込み、一昨年には“三顧の礼”で迎え、新たに3年契約を結んだ金本監督を1年目で電撃解任した。OBの中には、そんな阪神の体質を嫌って、コーチ就任を拒む者もいる。阪神に有能な指導者がいないのは、功労者を大事にしない悪しき伝統のせいです」

 03年、05年の優勝に大きく貢献した今岡真訪(現ロッテ二軍監督)も、09年に戦力外になり、追われるように阪神を去った一人だ。当時のフロントは、今岡に現役引退を打診したが、現役続行を希望する本人を説得することができず、退団。そのオフ、今岡がトライアウトを受けた際には、オリックスの監督に就任した大物OBの岡田彰布氏が「何であんなさらし者にするんや」と阪神のフロントを痛烈に批判した。

「その岡田氏も1993年に阪神から戦力外通告を受け、現役続行を希望して、翌年オリックスへ入団。当時の球団社長は、岡田氏に解説者の椅子を用意したり、フロント入りを打診したりするなど処遇を気にかけていたからまだしも、掛布雅之、田淵幸一、江夏豊といったスター選手は、それぞれ事情は違えど、遺恨を残す形で退団、移籍している。田淵氏はタテジマのユニホームを脱いでから02年に現場復帰するまで24年、掛布氏は16年に二軍監督に就任するまで27年もの時間を要した」(前出のOB)

 それにしても阪神はなぜこうも、看板選手の処遇が問題になるのか。

「阪神の場合は昨年の鳥谷しかり、“根回し”もなく突然、引退勧告をすることが多く、結果、話がまとまらないことが多い。例えば、昨オフに引退した巨人阿部慎之助(現二軍監督)も、現役続行を希望していたが、原監督が将来の指導者への道を説き、引退を決断させた。しかるべき人がしかるべき言葉をかけるなど、阪神には総じて、功労者への配慮が欠けているのです」

 とは、前出のOBだ。

■糸井、能見の残留に疑問

 ともあれ、これで阪神は藤川、福留の退団が決定。高給取りにもかかわらず、チームの足を引っ張る糸井嘉男(39=年俸4億円)や能見篤史(41=年俸9500万円)を含めた大ベテランを一掃し、血の入れ替えを行うのかと思いきや、別の阪神OBは、「藤川、福留に加え、助っ人のボーアも構想外になっているそうですが、戦力外候補だった糸井と能見は来季も現役続行の方針だと聞いています」と、こう続ける。

「フロントと矢野監督はいまだに糸井と能見を来季の戦力として計算に入れているというのです。高山や中谷ら、中堅選手の伸び悩みも背景にあるようですが、今季は投手では左腕の高橋、野手では大山が成長。長年不在だった生え抜きのエースと4番が育ちつつあり、世代交代を行う千載一遇のチャンスといっていい。リーグ連覇が決定的な巨人に対抗するためには、若手、中堅選手の底上げが必要不可欠。衰えが著しい糸井と能見が残留すればその分、若手、中堅選手の一軍出場機会は減る。特に糸井は、守備走塁での緩慢プレーが目立つなど、チームの士気を下げてさえいる。チーム内外では早くも、『これでは来季も勝てない』と、矢野監督とフロントの方針を疑問視する声が出ています」

 3月の藤浪らのコロナ合コン騒動に始まり、編成のゴタゴタも続く阪神。この球団の「お家芸」といえよう。

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