山口敏夫元労働相が語る「なぜ森会長と喧嘩してきたのか」

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「森(喜朗元首相・公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会長=以下、東京五輪組織委会会長)さんは、今回の女性蔑視発言はとんでもないけどまだ続けようとしている。蔑視発言は大問題だけど、ここで東京五輪利権も追及しないとダメじゃないですか」

 そう話すのは、元国会議員の山口敏夫・元労働大臣(80)だ。

■五輪がおかしいんじゃなくて森さんがおかしい

 山口氏は1967年、当時最年少の26歳の最年少で無所属で初当選。その後自民党に入党するが、1976年、ロッキード事件を受けて、河野洋平ら党内リベラル派と新自由クラブを結成。「牛若丸」とも呼ばれた政界の風雲児だった。その後、自民党と連立を組み労働大臣も務めるが、1994年に二信組事件に関与したとして逮捕。懲役3年6カ月の実刑判決を受けて事実上政界を引退するが、2016年に東京都知事選に出馬。ジャージ姿で街宣をする姿は色物に映ったかもしれないが、その狙いは明確。東京五輪組織委員会の森会長だった。

「僕は東京五輪がおかしいと言っているんじゃなくて、森さんがおかしいと言ってきたのよ。東京五輪はそもそも東京を再開発するための大利権なんです。国立競技場や秩父宮ラグビー場がある明治神宮外苑の再開発のために森(喜朗)さんらが広告代理店とかとチームをつくった。外苑にある国立競技場も50年以上経っていたし、秩父宮競技場も地震で壊れそうになっていたのは事実だよ。しかし、明治神宮外苑は日本人の寄付でつくられた最大の森であって、再開発がとても難しかった場所。それが東京五輪をやるということでできてしまった」

 そんな山口氏は、森氏の政治資金を調査した冊子もつくり、マスコミにも情報提供してきている。

「森さんは東京五輪組織委員会会長をしていて、自分はボランティアだからカネはもらわずきれいにやると言っていたんだよ。その一方で2012年に議員を引退したあとも『春風会』という政治資金管理団体を持ち続けていた。政治資金パーティーも開いたりして6、7年で10億円近く集めていた。献金だと名前が出ちゃうけど、パーティー券だと買っても名前出ないから政治家はパーティーをやるわけ。森さんがオリンピック関係で動いていると、引退した元政治家なのに政治献金というアンフェアなカネが混入し続けていっていたわけです。そこも問題だと思ったんです。五輪を純粋に支持している人たちはたくさんいる。しかし裏では、組織が私物化されているんだよ」

安倍前首相が「森会長を批判しないでくれと」と

「やっぱり俺みたいに裏を知っている人間がこういうことを放置していはいけないんじゃないかと思ったんです」と話す山口氏は、東京五輪のキーパーソンの一人、電通顧問の高橋治之組織委理事も知っているという。

 高橋氏は国際陸上連盟関係者へのリベート疑惑で名前が上がった東京五輪組織委理事という幹部。1月末に、高橋氏は「バッハ会長とIOCに、大会について決断を下せる人はいない。そうしたリーダーシップを持っていない」とゴーマンな発言をし、IOCから批判を受けたことを米「ウォールストリートジャーナル」が報じている。

「今、電通のビジネスの中心はスポーツでしょう。それを最初に手をつけて愚直に育ててきたのが高橋治之です。高橋は電通を代表して東京五輪組織委の理事をやっています。影響力があるんです。高橋はペレ(サッカー選手)を弟の治則のプライベートジェットに乗せて日本に連れてきて中曽根(康弘)さんとテニスさせた人物。マイク・タイソンを日本に呼んだのも高橋です。俺も2枚チケットもらったよ。行かなかったけど」

 弟の高橋治則氏は2005年に鬼籍に入ったが、イ・アイ・イ・インターナショナル(2000年に事実上破綻)の社長や東京協和信用組合の理事長を務めた。バブル経済を象徴するような人物で、兄の治之氏より有名だった。東京協和信用組合の二信組事件で山口氏は背任などの共犯容疑で逮捕、実刑を受けたのだ。

■「黙りこんだ」安倍氏

「数年前、安倍総理(当時)からも『山口さん、森さんのことはなんとかなりませんか』と言われたことがありますよ。つまり、あまり森さんを批判しないでくれという意味。僕は森さんの当選一期上で彼のことはよく知っている。いかに彼が総理になったのかとかさ。だから安倍さんには『森喜朗がいかにインチキかということはあなたの親父さん(故・安倍晋太郎)からさんざん聞かされている。それでも(安倍氏が)組織委の会長が余人をもって代えがたいというのならば批判は止めてやる』と返したんです。そうしたら安倍さんはうつむいて黙りこんでしまったね」

 森批判を強めていく山口氏は森会長をいよいよ刑事告発しようと準備もしていたが、「春風会」は2017年末に解散する。

「森さんがようやく政治団体を解散したから、追及するのももうこれでいいかと思っていた。あの人もいろいろあるからね。だけど今回の発言を聞いて会長を辞めるまで活動しなけりゃならないと思いましたよ」

 政局を読むことに抜群の能力を発揮してひらりひらりと立ち回ってきた「牛若丸」。その嗅覚は今なにかを感じ取っているらしい。

(取材・文=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

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