日本女子プロゴルフ協会が主催者に突きつけた「2025年から公認競技廃止」の狙い

公開日: 更新日:

人気の女子ツアーの裏で今何が起きているのか?(1)

 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が公認する来季トーナメント開催のエントリー締め切りが8月31日に迫っている。

 ところが今、事前の打ち合わせもなく、JLPGAからの一方的な要求に多くの大会主催者が困惑している。2022年のツアー開催規定に、「25年から公認競技廃止の条項を盛り込むことに同意してサインして欲しいと各主催者に求めている」(関係者)からだ。

 公認競技廃止とはどういうことか。

 例えば今週開催の「ニトリレディス」は、主催者が株式会社ニトリであり、JLPGAの公認競技となっている。

 JLPGAはトーナメント開催を希望する企業の申請を公認する。その公認料として700万円を主催者から受け取り、協会会員の女子プロや競技委員、事務方スタッフを試合会場に派遣するのが主な業務であり、協会の大きな収入源になっている。

 女子ツアーは今年38試合行われ、JLPGAが主催する競技は共催を含めて「ワールドレディス選手権サロンパスカップ」「楽天スーパーレディース」「日本女子プロゴルフ選手権」「ツアー選手権リコーカップ」の4試合しかない。

 日本女子オープンは日本ゴルフ協会主催のため、JLPGAは何もタッチしていないが、残る33試合はサントリー、ダイキン、ヤマハ、NEC、富士通、伊藤園などのわが国を代表する大手企業やテレビ局、広告代理店が大会の主催者だ。

■スポンサーの主催権返上

「要するにJLPGAが17年から主張している放映権の帰属問題が何も進展しないので、一気に公認競技を廃止することによって、各主催者には特別協賛会社になってもらい主催権の返上を狙っているのです。JLPGA自身が25年から女子ツアーを主催すると踏み込んだわけです」(ゴルフ記者)

 18年12月のツアー日程発表会では、放映権帰属をめぐって対立した日本テレビ系主催の3大会(KKT杯バンテリンレディス、中京テレビ・ブリヂストンレディス、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)の中止が発表された。ところが翌19年1月に突然復活するなど、協会はテレビ局に屈した形になった。

 そこで、放映権帰属ではなく公認競技廃止を打ち出してきたのだ。

「主催者の中には、JLPGAがツアーを主催する形があってもいいと認める声も確かにあります。ただ、エントリー締め切りの31日になってJLPGAの提案に納得できないスポンサーが15社も出てきたら大きな問題になる」(ツアー関係者)

 主催者は大会のすべての責任を負い、もちろん放映権も主催者に帰属するというのが筋だ。JLPGAは公認競技廃止で、実質的に主催権の返上を要求しているわけで、丁寧な説明責任を果たさない協会の態度に、長くトーナメントを開催して女子ツアーを盛り上げてきた主催者には反発が大きい。

 そして、JLPGAは主催者から特別協賛会社になってもらい、大会冠料として高額の4億円請求を目標にしているといわれる。協会は公認料700万円よりもカネが潤沢に入ってくる改革を目指しているのだ。=つづく

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手