「三刀流」大谷翔平の躍動に不可欠なものは? “リアル二刀流”フル稼働で心身の反動に懸念

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「今季の彼の活躍を再現できるとすれば、それは彼しかいない」――。

 エンゼルスのジョー・マドン監督(67)が、早くも大谷翔平(27)の来季の活躍に期待を寄せた。

 今季は投打の二刀流として開幕からフル稼働。投げては23試合、計130回3分の1で9勝2敗、防御率3.18。野手として155試合に出場し、537打数138安打の打率.257、46本塁打、100打点、26盗塁。1918年のベーブ・ルース以来となる「2ケタ勝利と2ケタ本塁打」達成こそ逃したものの、レギュラーシーズン最後までロイヤルズ・ぺレス、ブルージェイズ・ゲレロとともにア・リーグの本塁打王を争った。登板時に打席にも立つ「リアル二刀流」もこなし、ハイレベルな結果を残したことから、今季のア・リーグMVPの最有力候補と目されている。

■来季は外野起用も視野

 すでにマドン監督は来季の大谷の起用法について「特に何かを変える理由はない」と二刀流継続を断言。「降板後にもう1打席立たせたい場合、以前よりも彼を外野守備に就かせることに抵抗がなくなるだろう」と、「三刀流」での起用を示唆した。

 今季は肩、肘の不調を訴えることなく、リアル二刀流としての実質1年目のシーズンを乗り切った。指揮官がより高いパフォーマンスを期待するのは当然のこととはいえ、今季の反動が不安視されるのも事実だ。

 今季開幕前、本人とマドン監督、ペリー・ミナシアンGMを交えて3者会談を行い、二刀流の起用法を決定。指揮官は「登板試合数、投球イニングを制限するつもりはない」と、投打の柱として起用し続けた。2018年オフに受けた右肘の靱帯を修復するトミー・ジョン(TJ)手術から本格的に復帰して実質1年目ながら、イニング数は100を超え、100球以上投げたのも4試合あった。登板日翌日の休養日を撤廃して野手として出場した。

 今年2月のキャンプ、オープン戦では順調な仕上がりを見せていたが、地元メディアを中心に「再び、肩、肘を痛めれば二刀流剥奪」などの悲観的な報道が目立った。大谷も開幕前「右肘を手術して2年が経って、リハビリも最終段階になる3年目なので、そろそろ形を残さないといけない。ラストチャンスという雰囲気を吹き飛ばすためにも、数字で示さなきゃいけない」と、危機感を口にしたこともあった。二刀流に対して懐疑的な見方が大勢を占める中、結果を残して首脳陣を納得させるためにも「今年は大きい離脱をしないようにリカバリーをメインにやってきた」(大谷)と、マッサージに3時間程度費やすなど、体のケアを怠らなかった。

悪評多い球団医療体制

 大谷はリアル二刀流2年目となる来季について「やったことがないので確信めいたものはない。一年一年長くできるようにみんな必死にトレーニングしたり、ケアしたり、他の選手と変わらないと思います」と、引き続き故障防止に努めるとしたが、不安は尽きない。

 何しろ周囲では「大谷がどれだけ体に気を使っても、球団のメディカルスタッフが脆弱」との声が少なくないからだ。

 今季、トラウト、レンドンの強打者を筆頭にチームの計23人が負傷者リスト(IL)に入った。新型コロナウイルス感染でのIL入りを除けば、同じア・リーグ西地区では最多の故障者だ。かねてエ軍の医療体制が問題視されており、2018年にはメジャー史上ワーストとなる6人の投手(大谷含む)が肘を痛めるなど、悪評が尽きない。

 今でもメディカルスタッフのレベルの低さは相変わらず。今季、股関節を痛めて長期離脱したレンドンは、何度も検査しながらも下半身の痛みの原因がわからず、他球団のチームドクターの診察を受けてようやく判明した。そもそも、大谷の肘を執刀したのも、肘の権威とされるドジャースのチームドクターだった。

 大谷が今季以上の結果を残せるかどうかはともかく、故障に泣かないためにも自分の身は自分で守るしかない。

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