著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

MLBの「ロックアウト」はいつまで続く? 長期化で視聴者から見捨てられる可能性も

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 しかし、「コロナ禍」によって人々の生活が一変し、世界的な経済活動の停滞や先行きの不透明感、さらに物価騰貴の進展などから、大リーグを含むスポーツ界の環境は厳しさを増している。そのため、新協定の締結を優先する余地は乏しくならざるを得ない。

■放映権料への打撃

 経営者側は労使協定の改定を好機と捉え、「コロナ禍による収益構造の変化」を理由に年俸総額制の導入への道筋をつけるべくぜいたく税の算定基準額の引き下げを強硬に主張したことが、交渉決裂の決定的要因だった。なぜなら、「年俸総額制は選手の権利の侵害」と主張してきた選手会側にとって、経営者側の要求は受け入れられないものだからだ。

 だが、人々の趣味が多様化した現在、大リーグは他のスポーツだけでなくNetflixといった映像配信サービスなどとも視聴者の獲得を競い合わなければならない。ロックアウトが長期化し、2022年のシーズンに影響を及ぼすことは大リーグが視聴者から見捨てられることにつながりかねず、経営陣にとって重要な収入である放映権料への打撃は避けられない。激しい対立の裏面で折衝が行われるのは、交渉の常識でもある。

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