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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神“大砲コンビ”大山悠輔と佐藤輝明…活躍の味わい方のちがい

公開日: 更新日:

 チームが低迷しているときは個人成績を日々の肴に一喜一憂する。これは90年代の長く厳しい暗黒時代を乗り越えてきた虎党が日々をなんとか楽しむために自然と身につけた生き方である。

■かつての新庄と桧山

 思い出されるのは第3次吉田義男監督時代の97年。当時25歳の新庄剛志が主に3番打者として打率.232、本塁打20、同じく28歳の桧山進次郎が主に4番打者として打率.227、本塁打23。レベルの低い話かもしれないが、あのころは左右の生え抜き2人がともに20本塁打を超えたことがうれしかった。チームは借金11の5位だったが、そんなことは最初から期待していないので屁でもなかった。ちなみに当時は2人とも粗削りな打撃スタイルで、新庄は120三振、桧山は150三振だった。

 それに比べたら現在の大山と佐藤の本塁打数争いなんて贅沢な嗜みだと思う。新庄と桧山はドラフト下位入団からの雑草コンビだったが、大山と佐藤はどちらもドラフト1位のスター候補生。ただし、佐藤が名門・近畿大学から4球団競合の末に阪神がクジで引き当てた王道的な超エリート選手であるのに対して、大山は全国的には新興の白鴎大学から単独指名のドラ1で、当時は「2位でも取れた選手」などと一部で批判気味の論調も囁かれた、いわば少々曇りのある選手。実際、佐藤は1年目から開幕一軍だったが、大山の1年目は二軍スタートだった。

 だからなのか、大山と佐藤はその活躍の味わいが少しちがう。佐藤が打つとただただ感嘆し、未来への期待に胸がふくらむ一方なのだが、大山が打つとなんだか妙にうれしくて、ちょっとホッとするのだ。きっと佐藤はすごいやつで、大山はかわいいやつなのだろう。

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