三笘薫を見いだした“川崎の目利き”が語る プロ契約までの紆余曲折とW杯8強への期待

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筑波大進学は肉体改造にプラス

 ──それでもスカウトという立場上、三笘選手がトップに上がらないという事態は……。

「はい、やはり正直に言えば、トップに昇格しないということに対しては衝撃を受けました。それでも、筑波大はフィジカル的な研究をいろいろやっていますし、薫の肉体改造のためにはプラスになるだろう──と判断して送り出しました。薫自身も、いろいろ考えたと思います。大学を卒業するまでケガがないとは言い切れないし、(川崎のトップから)もう一度オファーが来る保証もありませんからね。このことは(ユースから)大学に進学する選手たちの多くが悩むところです」

 ──筑波大時代の三笘選手の印象は?

「大学に入ると体が大きくなり、一気にしっかりとした体つきになりました。走力のトレーニングを十二分にこなしたのでしょう。スピードが一気に上がったことで大学入学後、早い段階で相手を完全に置き去りにするドリブルができるようになりました。ユース時代の薫はテクニックでかわすタイプでしたが、一気に前に出るための初速がアップしました。大学2年になると天皇杯で対戦したJ1の選手相手にドリブルでどんどん突破できるようになり、『もうJリーグでプレーできるレベル』と判断して3年生のときに(プロ契約の)オファーを出しました」

■フロンターレにしか戻らない

 ──有望なプロ即戦力として他クラブからも熱視線が送られていた。

「クラブ育ちの選手が大学に進んだ場合、スカウトの紳士協定として『他クラブが勧誘する際にはまずユース時代の所属クラブにひと声かけてからにする』というのがあります。ですが、薫はJ1各クラブから注目を集めていた分、暗黙の了解を守らないクラブがありましたね。私個人としては『4年後にちゃんと戻ってきます』と約束をしていたので心配はしていませんでした。筑波大在学中も薫は『他クラブの練習に参加するつもりはありません。僕はフロンターレに戻ることしか考えていないので』と言ってくれました。律義に約束を守ってくれました」

 ──同学年の順天堂大MF旗手怜央選手と一緒に加入することになった。

「旗手にもオファーを出したのですが、こちらには『クラブ出身の薫と高校サッカー部出身の旗手を競争させることで2人を成長させたい』という思惑がありました。それぞれに『同じ日に仮契約したい。いいのか?』と聞き、2人に差をつけないように話を進めて同時に発表しました。その前年には、大卒選手を取っていなかったので即戦力としての獲得でした。なので2人がJ1で活躍することについて、そんなに不思議とは思わなかったですね。ただ、薫がプロ1年目でリーグ戦13ゴールを決めるとは想定外でした。筑波大での成長を立証してくれました」

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