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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

防御率33.75がイジられたが…阪神の“メンタルモンスター”ケラーへの期待

公開日: 更新日:

 しかし、それにしても開幕当初のケラーへのバッシングはすさまじいものがあった。先述の開幕戦では先発・藤浪晋太郎の勝ち星を帳消しにする逆転打を食らい、そこからチームは悪夢の開幕9連敗。今季の阪神の歴史的なつまずき、いわば逆スタートダッシュの象徴のような扱いを受け、ネットでは防御率33.75がいじりネタとしてクローズアップされるわ、“虫ケラー”なんて言葉遊びでちゃかされるわ、さんざんな目に遭っていた。

 遠くアメリカから海を渡って異国の地の見知らぬチームに加入し、そこから1カ月も経たないうちに熱狂的な阪神ファンや在阪メディアから大ブーイングを浴びた29歳の男。そのメンタルを想像すると、私は身震いしてしまう。普通ならちょっとしたトラウマになってもおかしくない。悪夢にうなされ、部屋から出られなくなったっておかしくない。日本なんか嫌いだ、日本人怖い、となっても理解できる。

 だけど、ケラーはそこから見事に復帰した。推定年俸1億2500万円という高額契約を交わしたプロフェッショナルなのだから、そんなことは当然かもしれないが、個人的にはよくぞ心の傷から立ち直ってくれたと思う。二軍調整していたころのケラーについて、一番気になっていたのは投球の状態ではなく、メンタルのケアだった。

 だからこそ、今後のケラーがますます調子を上げていったら、阪神にとってこんなに頼もしいことはない。ケラーはおそらく驚異的な精神力の持ち主だ。メンタルモンスターは甲子園の大観衆に強い。スアレスに負けないようなクローザーになるかもしれない。

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