著者のコラム一覧
春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。98年から五輪批評「スポーツ思考」(メルマガ)を主筆。https://genkina-atelier.com/sp/

プーチンはオリンピック休戦決議を踏みにじりながら…最高位勲章剥奪の汚名をそそぎたい

公開日: 更新日:

■クリミア侵攻という“成功体験”が

 柔道家であり、オリンピック好きのプーチンがなぜオリンピック休戦を破る決心をしていたのか? 彼は北京冬季五輪開会式には出席している。プーチンにとってオリンピック休戦は国連決議のものではなく、あくまでも古代オリンピアのもので、オリンピックが閉会されたら、休戦は終わりと考えた。そして、パラリンピックが始まるまでの間に事が収まれば全てうまくいくと考えていたのだろう。プーチンには“成功体験”がある。14年のクリミアへのソチ五輪閉会直後の侵攻はまさにそうだった。だが、今回は失敗した。

 IOCが侵攻直後に出した声明はロシアとベラルーシへの厳しい制裁であった。両国の選手は国際競技会に参加できず、両国での国際競技会は許されない。しかしプーチンにとって最大の制裁は、01年にIOCから授与された最高位勲章、オリンピックオーダー金章の剥奪だろう。同年にモスクワで開催されたIOC総会で開催国大統領になったばかりのプーチンに渡された勲章である。この剥奪の汚名をそそぎたいプーチンに「ウクライナ冬季五輪2030開催」を突きつければ、どうなるだろう。今年3月にIOCが両国選手の条件付き参加を国際競技連盟に推奨したが、プーチンに名誉が戻るのは、彼が「ウクライナ冬季五輪2030」に賛同した時だ。問題は、誰が虎の尾を踏むか? だ。(つづく)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    突然告げられた強制米留学、現地では毎日ドミニカ人全員に飯を奢り続け、球団の領収書を切った

  2. 2

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  3. 3

    全英V山下美夢有の「凱旋フィーバー」は望み薄…6年前の渋野日向子と決定的な違いとは?

  4. 4

    酷暑の大阪万博会場を歩いたら“地獄”だった! 午後の気温は40度近く、大屋根リングはガラガラ

  5. 5

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  1. 6

    長渕剛がイベント会社に破産申し立て…相次ぐ不運とトラブル相手の元女優アカウント削除で心配な近況

  2. 7

    東洋大姫路(兵庫)岡田監督「大学からは『3年で』と言われたけど、ナンボ何でも無理ですと」

  3. 8

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ

  4. 9

    中村芝翫に別れたはずの愛人と元サヤ報道…夫が不倫真っ只中でも妻・三田寛子は家族写真投稿の複雑胸中

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希“ゴリ押し”ローテ復帰が生む火種…弾き出される投手は堪ったもんじゃない