大問題になった結婚式場での“クビ通告” 巨人は昔からやることがすごかった

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藤本英雄(C)共同通信社

「びっくりして腰が抜けそうになったぞ」

 巨人OBのセリフだ。

 何事かと言えば、結婚式に出席したその場で球団代表から、「来年は契約しないから」と通告されたのである。

 1957(昭和32)年のオフ、東京・日比谷の東京会館で行われた、広岡達朗の挙式でのことだった。

 後年、前代未聞の“クビ通告”をそう証言したのは、黒バットの南村侑広。58年の開幕を40歳で迎えるベテランだった。彼だけではない。投手コーチの藤本英雄(当時38歳)に遊撃手の平井三郎(同34歳)、外野手の樋笠一夫(同37歳)らも同様だった。通告を受け、式の途中なのに会場を出て帰ってしまい、当然、大問題になった。

 この年、巨人はリーグ3連覇を果たしていた。だが、日本シリーズでは2年連続で西鉄に敗北。球団社長はこの結果から「コーチ陣の刷新」「古参の一掃」を決断、それがこともあろうに広岡の祝宴の場だった。

 藤本はプロ野球初の完全試合を達成し、その前にノーヒットノーランも記録している大エース。平井は名遊撃手として知られ、オールスター戦MVP、日米野球のニューヨーク・ジャイアンツ戦で決勝ホームランを放っている。南村は日本シリーズMVP。いわゆる第2期黄金時代を築いた主力だった。樋笠は中日の“魔球フォークボール”こと杉下茂から、史上初の代打逆転サヨナラ満塁本塁打を放ったことで知られた選手だった。

 南村は社長から「スカウトで残れ」と言われ、「両親に相談したい」と返事をすると「24時間待つ」。 

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