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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

マラソン黄金期を牽引した双子ランナー宗兄弟の情熱と、合わせ鏡のような体感情報

公開日: 更新日:

 兄弟はラストのスピードで瀬古にはかなわなかった。彼らのデッドヒートを中山竹通が長野の山奥で見ていた。旭化成OBの佐藤進の指導に兄弟の猛練習を重ね、爪先走法を体得して瀬古の記録を次々に塗り替えた。宗ー瀬古ー中山で“見るマラソン”は定着し、その中山を目標に、谷口浩美、森下広一と宗兄弟の教え子たちのメダルが続くことになる。

■似て非なる性格の違い

 大分県立佐伯豊南高校時代、宗兄弟は陸上部の横井孝義監督宅に下宿し、先生は「2人は似てない」と述懐した。茂は大ざっぱで親分肌、猛は慎重な努力家。一生懸命勉強する弟にポイントを聞いて、兄の方が上の成績を取ったそうだ。2人を見分けるのに苦労した頃、眼鏡の違いに気付いた。後にそう話すと、兄弟はニヤッと笑った。

「それでね、時々、眼鏡を変えたりしたんです……」

 九州の小都市から世界歴代2位が生まれ、マラソン黄金期のリーダーが出現した理由は、似て非なる性格の違いだろう。情熱に根差した合わせ鏡のような体感情報の質と量ーー昨年、茂さんはこんな話をしていた。

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