スタンフォード大・佐々木麟太郎も影響を受けかねないトランプ政権のビザ規制
実際、IT技術者らが多く利用するH-1Bビザでは移民局から追加の情報提供が求められる例が増加している。今後、他のビザにも同様の措置が取られれば、外国からの人材受け入れ計画の変更を余儀なくされる。
また、2024年に佐々木麟太郎(スタンフォード大)が渡米したことで、全米大学体育協会(NCAA)やそこに所属する日本人選手への注目度が向上した。
こうした選手も、ハーバード大の場合と同様に、大学そのものが留学生の受け入れ資格を停止されたり、個別の学生に対して留学ビザの取り消しの対象となりかねない。
むしろ、国家の安全保障という考えを拡大解釈すれば、米国内の大学によって構成されるNCAAに外国籍の選手が所属することは米国籍の学生の出場機会を奪うものであり、国家の健全な発展に支障を来すといった理由を設けて政権が規制を強化する可能性は皆無ではない。
株価や為替相場の乱高下を受けてトランプが弱気な姿勢を見せた追加関税問題に比べ、ビザの発給の制限は直ちに米国経済に悪影響を及ぼすわけではない。いわば、ビザの問題はトランプにとって自らの指導力を誇示するための格好の対象となる。それだけに、職員や大学選手の受け入れが当初の予定通り実現するのか否かについて、関係者は政権の動向に敏感にならざるを得ないのである。