著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

スタンフォード大・佐々木麟太郎も影響を受けかねないトランプ政権のビザ規制

公開日: 更新日:

 実際、IT技術者らが多く利用するH-1Bビザでは移民局から追加の情報提供が求められる例が増加している。今後、他のビザにも同様の措置が取られれば、外国からの人材受け入れ計画の変更を余儀なくされる。

 また、2024年に佐々木麟太郎(スタンフォード大)が渡米したことで、全米大学体育協会(NCAA)やそこに所属する日本人選手への注目度が向上した。

 こうした選手も、ハーバード大の場合と同様に、大学そのものが留学生の受け入れ資格を停止されたり、個別の学生に対して留学ビザの取り消しの対象となりかねない。

 むしろ、国家の安全保障という考えを拡大解釈すれば、米国内の大学によって構成されるNCAAに外国籍の選手が所属することは米国籍の学生の出場機会を奪うものであり、国家の健全な発展に支障を来すといった理由を設けて政権が規制を強化する可能性は皆無ではない。

 株価や為替相場の乱高下を受けてトランプが弱気な姿勢を見せた追加関税問題に比べ、ビザの発給の制限は直ちに米国経済に悪影響を及ぼすわけではない。いわば、ビザの問題はトランプにとって自らの指導力を誇示するための格好の対象となる。それだけに、職員や大学選手の受け入れが当初の予定通り実現するのか否かについて、関係者は政権の動向に敏感にならざるを得ないのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」