(3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった
OBの苦言は「言わせておけばいい」
岡田監督時代は外野手に「中継プレー」を徹底。内野手は1死一、三塁の場面で「中間守備」を敷かず、併殺シフトか前進守備かをはっきりさせたが、これらのルールを撤廃。データを重視し、相手打者に応じた守備隊形を取り入れることで、失策数は昨季の85から53に激減した(9日現在)。
守備位置の固定を良しとした前任者とは打って変わって複数ポジション制を導入。佐藤輝が三塁から外野に回ったこともあった。これが奏功し、岡田監督時代は出場機会に恵まれなかった熊谷敬宥、高寺望夢といった中堅選手が優勝のピースになった。
「藤川監督は3番・佐藤輝明、4番・森下翔太でスタートした先発オーダーをシーズン途中から4番・佐藤輝に変えた。報道陣からその理由を問われると、『朝令暮改です』と言ってのけた。一方、岡田監督時に『不動の4番』だった大山悠輔を就任直後に5番起用する構想を掲げた。実際に今季ここまで1試合だけ4番で起用した以外は5番に固定。前を打つ森下、佐藤輝の可能性を広げるための策がハマり、2人の飛躍につなげた。堅実で動くことを好まない岡田前監督と比べると、柔軟性が高いといえます」(コーチ経験のある球団OB)
指揮官はさらに、「負けたときに自分が1面に載るというのが非常に楽しく、痛快に感じる」とメディアへの皮肉とも受け取れる発言をした。近い関係者にはOBの苦言に対して、「言わせておけばいい」と不敵な笑みを浮かべたという。コーチ経験ゼロの新人監督のリーグ優勝は藤川監督を含めて4人だけ。これらの発言を、就任1年目にして成功に導いたプライド、自尊心の表れと見る関係者は多い。 (つづく)