世界中で急増する「撤回論文」…医学論文は最終結論ではない

公開日: 更新日:

 中高年の話題といえば「健康」に関するものが多い。テレビや新聞、雑誌で仕入れた「最新情報」や「意外な知識」を披露して得意顔の人を見かけるが、注意が必要だ。医療・健康情報の根拠となる論文撤回が急増しているからだ。その結果、「あの人の情報はウソばかり」と信頼を損ないかねない。

 科学の信頼度をおとしめる論文撤回が世界中で相次いでいる。ノーベル生理学・医学賞、化学賞受賞に沸く日本でも、今年2月に百日咳に関する論文7本に不正が発覚。一部の論文が撤回される事態となった。論文を執筆した大学研究所の助教は、任期付き教員であったことから、実績が欲しかったことが動機だと報道されている。病院薬剤師で、医療情報の適切な活用を支援する特定非営利活動法人「アヘッドマップ」共同代表の青島周一氏が言う。

「学術論文の撤回自体は、必ずしも珍しいことではありません。文部科学省の科学技術・学術政策研究所の調査によれば、日本における学術論文の撤回件数は世界9位であることが報告されています」

 この調査は、撤回された論文のデータベースである「リトラクション・ウオッチ・データ」と、研究成果書誌のデータベースである「オープン・アレックス」を分析したもので、2013~22年における学術論文の撤回実態を分析している。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    山崎まさよし、新しい学校のリーダーズ…“公演ドタキャン”が続く背景に「世間の目」の変化

  2. 2

    ドラフト目玉投手・石垣元気はメジャーから好条件オファー届かず…第1希望は「日本ハム経由で米挑戦」

  3. 3

    高市自維政権で進む病人・弱者切り捨て…医療費削減ありき「病床11万床潰し」すでに3党合意の非情

  4. 4

    創価学会OB長井秀和氏が語る公明党 「政権離脱」のウラと学会芸能人チーム「芸術部」の今後

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    ソフトバンクに激震!メジャー再挑戦狙うFA有原航平を「巨人が獲得に乗り出す」の怪情報

  2. 7

    山崎まさよし公演ドタキャンで猛批判 それでもまだ“沢田研二の域”には達していない

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    米価暴落の兆し…すでに「コメ余り」シフトで今度こそ生産者にトドメ

  5. 10

    まだ無名の「アマNo.1サウスポー」評価爆上がり!23日ドラフト「外れ1位」なら大争奪戦も…