ドラフト外入団の憂き目に半ば不貞腐れていたボクを最初に見出してくれたのは山本浩二さんだった

公開日: 更新日:

「チェッ、ドラフト外の無名新人なんてこの程度の扱いかよ」

 想像していたキャンプとはおよそかけ離れた練習に、なかばふてくされていたある日のこと。山本浩二さんがフラッと鳥カゴの前にやってきます。

「どこへ行くんだろう」

 そのまま通り過ぎるのかと思っていると、腕組みしたままケージの後ろから動きません。ドキドキしながら10分間ぐらいも打ったでしょうか。突然、浩二さんが口を開きます。

「おまえ、ええスイングしとるわ」

 それだけ言うと、背を向けて去っていきました。

 翌日、いつものように鳥カゴへ向かおうとすると、二軍監督の備前さんが「今日はメーンで打て」と言う。

「ボクのバッティングを見た浩二さんが報告してくれたんだな。これはビビっとれんぞ。ええとこ見せな」

 意気揚々と打席に入ると、バッティングピッチャーが回転のいい直球をストライクゾーンにポンポン放ってくれます。そのボールは前日までのピッチングマシンとは違ってとても打ちやすく、鋭い打球が野手の間を抜けていきます。リストがうまく返ってヘッドが走ると、広い天福球場(両翼99メートル、中堅122メートル)のフェンスさえ越えていきます。大飛球を見た首脳陣は顔を見合わせヒソヒソやっています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    U18高校代表19人の全進路が判明!プロ志望は7人、投手3人は中大に内定、横浜高の4人は?

  2. 2

    中日についてオレが思うことを言っちゃおう。一向に補強もせず、本当に勝ちたいのだろうか

  3. 3

    錦織圭と西岡良仁の不調に共通する難題…男子テニスの〈パワー・精度〉は爆発的向上している

  4. 4

    森保JのW杯に大いなる不安…三笘薫は「突破力に陰り」、伊東純也は「完治しない故障」

  5. 5

    私のスケジュールを大公開…やっぱりゴルフが好きでなければ続けられません

  1. 6

    15年前に“茶髪&へそピアス”で話題だった美人陸上選手は39歳、2児のママ…「誹謗中傷もあって病んだことも」

  2. 7

    自民元議員・和田政宗氏が参政党に露骨なスリ寄り…宮城県知事選で政策協力、過激政策に“偽情報拡散”の懸念

  3. 8

    小泉今日子は商才もピカイチ! 還暦からの「自分がやりたいこと」を実現させる“先立つもの”の備え方

  4. 9

    司から竹内組長へ…山口組はどう変わるのか

  5. 10

    「時代に挑んだ男」加納典明(45)勝新太郎との交友「図体や印象より、遥かに鋭利なものを持っていた」