07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(下)
森繁和氏による「オレ流とともに去りぬ」(第4回=2011年)を再公開
日刊ゲンダイではこれまで、多くの球界OB、関係者による回顧録や交遊録を連載してきた。
当事者として直接接してきたからこそ語れる、あの大物選手、有名選手の知られざる素顔や人となり、そして“事件”。当時の空気感や人間関係、出来事の裏側がありありと浮かび上がる。
前回に引き続き、今回もあの落合博満氏について綴られた、森繁和氏による「オレ流とともに去りぬ」(第4回=2011年)を再公開。年齢、肩書などは当時のまま。
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中日の3勝1敗で迎えた07年の日本シリーズ第5戦。日本ハム打線を相手に山井大介が完璧な投球を続けていた。八回を終えてなお、完全試合。あと1イニングで日本シリーズ史上初の大記録が達成されようとしていた。
しかし、山井は五回の時点で右手人さし指のマメを潰していた。回を追うごとに、出血の量が増している。試合は1-0の1点差。続投か、交代か。正直、迷った。
この年は、落合監督が開幕前からハッキリと日本一を目指すと宣言して臨んだシーズン。選手も誰もが、球団として53年ぶり2度目の日本一を、最大にして唯一の目標としていた。それが、目の前まで迫っている。