「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた
「うわ、もう順番来ちゃったよ。仕方ねえ、これで練習するしかない」
すると、タイミング悪く星野監督がバッティングケージの方へやってきた。動揺を隠しながらバットを振っていると、すぐさま異変に気付いた監督が「おい」と声をかけてきた。
「はい」
「何や、おまえそれ。スパイクを履いとらんやないか。どういうことや」
やっぱりバレたか。困り果てた俺は、とっさにこう言った。



















