「僕はもうすぐ死ぬんです」…俺の中で今も生き続ける歌手・池田貴族さんの言葉
1999年9月30日、ヤクルト戦に勝って11年ぶりのリーグ優勝を果たした。でも、俺はその歓喜の輪に入ることができなかった。
この日の先発は山本昌さん。ヤクルトの真中満がバントをし、打球を処理した昌さんが一塁手の俺に送球。全力疾走で一塁を駆け抜けようとした真中の体がグラブ付近に激突した衝撃で、左手首を骨折してしまったのだ。当たった瞬間、めちゃくちゃ痛かった。
「ああ、これはもう無理だな。俺、終わったな」
瞬時にそう悟った。わずか4日前、9月26日の阪神戦で逆転サヨナラ3ランを打ったとき、「ここでスルーして日本シリーズに出られんかったら嫌だしな」と、涙ぐむ星野仙一監督からの抱擁を受け入れたのに……。
頭では無理だと分かっていたが、治療中にトレーナーに何度も「これ治りますかね? 俺、日本シリーズ出られますかね?」と聞いていた。
優勝を決めた日、東京の宿舎である赤坂プリンスホテルでビールかけが行われた。ドクターに「祝勝会には参加したいから、ゼンマ(全身麻酔)はやめてくれ」と頼み込み、局所麻酔で治療してもらった。


















