著者のコラム一覧
中川淳一郎編集者・PRプランナー

1973年生まれの編集者・PRプランナー。多数のウェブメディアの記事にかかわる。日刊ゲンダイ「週末オススメ本ミシュラン」担当。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『それってホントに「勝ち組」ですか?』など。

なぜ河村勇樹は称賛に値するのか ジョーダン時代のブルズに学ぶ「名脇役の価値」

公開日: 更新日:

リビングストンのハツラツプレーがブルズ王朝第一期を支えた

 身長は6フィート7インチ(201センチ)でピッペンと同じ。想像しやすいのが、八村が6フィート8インチ(203センチ)である点だ。スモールフォワードが本職だが、なんとかパワーフォワードもこなせる。そんなタイプの選手だということ。リビングストンも、やろうと思えばパワーフォワードもできる。何しろ頑丈なのである。6フィート9インチ(206センチ)の選手とぶつかり合ってもなんとかディフェンスをし、リバウンドを取れる。まさに「ハードワーカー」タイプの選手である。

 2年所属したブルズ1年目の成績は、1試合平均13.0分出場、4.0得点、2.9リバウンドだったが、この13分の出場がピッペンとグラントの貴重な休憩時間につながったわけだ。前年、リビングストンのポジションを担ったのは、エド・ニーリーだが、わずか46試合の出場にとどまり(信頼感がなかったのである)、平均10.9分出場、2.3得点、3.0リバウンドだった。

 リビングストンは全82試合中79試合に出場したわけで、信頼感はあった。そして、何よりもジョーダンと仲が良く、性格が明るかった。アトランタ時代のあだ名は“Good News(希望を届ける男)”であり、さらにブルズに入ってからは試合前に円陣を組み、“What time is it!(戦う準備はいいか?)”と叫び、チームメンバーが“Game Time!(よし勝負に行くぞ!)”と叫ぶコーラー(掛け声役)になったのである。

 ベンチではコートに立つ選手を常に鼓舞。これも主力選手にとっては励みになったことであろう。私自身、ジョーダンとピッペンのバックアップとして、90年オフに87年ドラフト全体3位指名のシューティングガードであるデニス・ホップソンを獲得したことこそ最大の補強だと思ったが、スコアラー(点取り屋)なのに平均4.3点しか取れず完全な期待外れだった。

 そんな中、75万ドル(当時の為替1ドル=135円として約1億125万円)で契約をしたリビングストンのハツラツとしたプレーがブルズ王朝の第一期を作る原動力になったと今でも思っている。とにかく90-91シーズン、ブルズは悲壮感が漂わず明るかったのだ。なお、リビングストンについては、契約時の楽観的なエピソードも面白い。

 ホークスとは4年間で400万ドル(同約5億4000万円)の契約で残留のオファーが来たのに、自分の市場価値を代理人とともに高く見積もり過ぎ、他チームも含め交渉を伸ばした。だが、ホークスも他チームもいつの間にか撤退しており、ブルズと年間75万ドルの2年契約をせざるを得なくなってしまったのだった。

 しかも、ホークスのスター、ドミニク・ウィルキンスのようにリムジンに乗りたい、といった夢を抱いていたという当時の書籍の記述もある。とことんおめでたい選手という印象だ。だが、ブルズに対して、そして河村への評価に対してもリビングストンの功績は案外大きいのではなかろうか。

(中川淳一郎/編集者・PRプランナー)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    伊原陵人の女性トラブル報道と関係が? 阪神の若手有望株を巡る“不可解な塩漬け”

  2. 2

    NHK「のど自慢」見ていて、あの政党の党勢縮小の理由がわかった

  3. 3

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  4. 4

    維新から入閣の中司宏新大臣に案の定「裏金疑惑」…高市内閣は支持率20ポイント暴落もある

  5. 5

    DeNA構想外の藤浪晋太郎を拾いそうな「意外な2球団」 “瀕死の剛腕”にはこれだけの魅力

  1. 6

    藤島ジュリー景子もう復活 懲りない真っ暗闇集団「旧ジャニーズ」と、それを許すテレビ局

  2. 7

    『ペイパーバック・ライター』60年前の日本との実力差を感じる凝った機材セッティング

  3. 8

    藤島ジュリー景子氏「復権の宴」と、「死ぬほど悔しい」と今もむせび泣くジャニー喜多川氏性加害被害者の肉声

  4. 9

    水前寺清子(4)気をつけていることといったら、「自分の心と違うことは言わない」ぐらいかな

  5. 10

    結核とは違う感染症「非結核性抗酸菌症」患者が増加…人からうつらないのに感染するのはなぜ?