「らんる曳く」佐々木中氏

公開日: 更新日:

■「僕の小説は食える人には食える納豆みたいなもの」

 独特な文体とリズムに気おされる。難解と捉える人もいれば、心をわしづかみにされ、とりこになる人も。

「僕は難しい文章を書いているという意識はまったくない。そもそも万人に読みやすい文体など存在しないし、幻想だと思う。僕からすれば、産経新聞のコラムのほうがよっぽど難解ですよ。『原発が効率のよいエネルギーであることが嘘だとわかり、ウランも輸入に依存している。(中略)だからこそ原発を推進しなければならない』と書いてある。論理が破綻していて意味が分からない。僕の小説のほうが断然読みやすいでしょう?(笑い)」

 主人公は2年前に妻を亡くした男。絶望的な喪失感に苦しみながら「生きることの意味」を体感していく。心情描写はなく、フィジカルな描写が苦しみをより倍増させる。

「内的独白やら心の叫びやらを文字にするなんてくだらない。そういうものを読みたい人は村上春樹百田尚樹をどうぞ。独白では伝わらないようなものがあるはずなんです。これが届く人には届く。食える人には食える。納豆みたいなものなんでしょうね、僕の小説は」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン