著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「僕は小説が書けない」中村航・中田永一著

公開日: 更新日:

 高校1年の光太郎は廃部寸前の文芸部に入り、小説を書かなければならなくなる――これはその顛末を描いた学園小説で、軽妙に読ませるが、そういうことよりも本書成立の事情が興味深い。

 本書は、中村航と中田永一という人気作家が合作した作品なのだが、興味深い成立の事情とはそういうことではない。

「ものがたりソフト」を使って書かれた小説だというのである。芝浦工業大学卒業の中村航は、母校が開発中の「ものがたりソフト」を使って小説を書くことを中田永一に提案し、そして合作したというのだ。

 この「ものがたりソフト」とは、小説を書くことを手助けしてくれるソフトで、何もせずに小説が出来るものではない。「あらすじ」「キャラクター」「プロット」などの要素に必要な事柄をシステムが問いかけてきて、ユーザーはその質問に答えていく。

 たとえば「主人公の特徴は何ですか?」「このシーンの時間軸はいつですか?」などの質問に答えると、システムがそれをまとめて整理してくれるものらしい。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    エキスポ駅伝2チーム辞退に《やっぱりな》の声…実業団に3月の戦いは厳しいか

  2. 2

    メール定着で利用減…郵便局への「補助金」案に金融界が呆れ顔

  3. 3

    TBS日曜劇場「御上先生」は“意識高めの金八先生”か? 教養レベル問われて疲れた視聴者の離脱も

  4. 4

    膨張するカウンターに萎縮し大好きな選挙が苦行に…渋谷のマイク納めは中止

  5. 5

    【佐賀県唐津市(2)】唐津湾の絶景と日本三代松原「虹の松原」を望む天然温泉とインフィニティプール

  1. 6

    芦田愛菜が"CM起用社数"対決で橋本環奈に圧勝の流れ ノースキャンダル&インテリイメージの強さ

  2. 7

    コシノジュンコそっくり? NHK朝ドラ「カーネーション」で演じた川崎亜沙美は岸和田で母に

  3. 8

    男性キャディーが人気女子プロ3人と壮絶不倫!文春砲炸裂で関係者は「さらなる写真流出」に戦々恐々

  4. 9

    ドジャース山本由伸は「こんな人」…オリ宮城大弥、岸田監督が語った意外な一面

  5. 10

    「10万円商品券」配布問題で大炎上! 石破首相の窮地に勢いづく高市早苗“一派”の鼻息