「冒険の森へ 傑作小説大全」集英社から発刊

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 集英社は5月12日、全20巻からなる画期的なアンソロジー「冒険の森へ 傑作小説大全」の発売を開始した。

 収録作品は、“冒険の森”と銘打ってあるが、冒険小説に限定せず、SF、時代、ホラー、純文学、童話など、2000年12月までに発表された20世紀の作品すべてが対象であるのが特徴だ。

「面白い小説こそ冒険である、というメッセージが込められています。面白い小説はこんなにたくさんあるのに、なぜ今、小説が読まれないのか。だったら、われわれ編集委員がこれまでの読書歴を出し合って、これだけ面白い小説がありますよ、と提示することで反転攻勢をかけようじゃないか、というコンセプトでこのアンソロジー集が編まれました」

 逢坂剛、大沢在昌、船戸与一、夢枕獏氏とともに編集委員を務めた北方謙三氏は、月刊「小説すばる」5月号でこう語っている。

 その徹底した“面白さ”へのこだわりは、第1巻「漂泊と流浪」の収録作品でもわかる。江戸川乱歩の復讐譚「白髪鬼」と、純文学の井上靖「敦煌」と一見、分野違いの2つの長編を同時に並べ、さらに、SF小説の草分け的存在の海野十三「軍用鮫」や夢野久作、小川未明といった人たちの作品も一緒に収録されるという大胆さ。要するに、“面白い”という観点に焦点を当て、日本のエンターテインメント小説の成り立ちがそこから立ち上ってくるような、画期的な作品構成になっているのだ。

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