「荒木飛呂彦の漫画術」荒木飛呂彦著

公開日: 更新日:

「荒木先生、こんなことまで書いてしまっていいんですか」と聞きたくなるほど、懇切丁寧かつ実践的な漫画の指南書である。

 高校時代から漫画を投稿しはじめ、19歳のとき「週刊少年ジャンプ」に掲載された「武装ポーカー」で漫画家デビュー。代表作「ジョジョの奇妙な冒険」は長期連載を続けている。しかし、漫画家への道は平坦ではなかった。編集者は鬼だった。

 原稿を持ち込んでも、1ページ目をチラッと見ただけで袋に戻してしまう編集者に、最初の1ページをめくらせるにはどうしたらいいか。この切実な体験から漫画術は説き起こされ、奥義へと進んでいく。

 漫画の「基本4大構造」とは、「キャラクター」「ストーリー」「世界観」、そして「テーマ」。互いに深く影響を及ぼし合っているこの4つを統括し、つないでいるのが「絵」であり、セリフが絵を補う構造になっているという。なるほどそうだったのか……。漫画家の手の内を知ると、漫画の読み方が深まりそうだ。

 著者はこの本を、「王道漫画」に行き着く「黄金の道」を示す地図と位置づけている。時代を超えて読み継がれる作品を描いてほしいという、後進への熱いエールが伝わってくる。(集英社 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    横浜高では「100試合に1回」のプレーまで練習させてきた。たとえば…

  3. 3

    健大高崎158キロ右腕・石垣元気にスカウトはヤキモキ「無理して故障が一番怖い」

  4. 4

    中居正広氏「秘匿情報流出」への疑念と“ヤリモク飲み会”のおごり…通知書を巡りAさんと衝突か

  5. 5

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  1. 6

    前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪

  2. 7

    渡邊渚“初グラビア写真集”で「ひしゃげたバスト」大胆披露…評論家も思わず凝視

  3. 8

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  4. 9

    あいみょんもタトゥー発覚で炎上中、元欅坂46の長濱ねるも…日本人が受け入れられない理由

  5. 10

    あいみょん「タモリ倶楽部」“ラブホ特集”に登場の衝撃 飾らない本音に男性メロメロ!