「一〇三歳になってわかったこと」篠田桃紅著

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 芸術家はなべて長寿だといわれるが、さすがに数え年103歳で現役、しかも第一線の美術家となると例がない。本書は、墨を基調とした抽象画で世界的な名声を誇る著者が、100歳を越えて初めて見えてきたという人生の風景をつづったもの。

 いわく、90代までは、その考えや生き方を参考にする先人がいたが、100歳を越えると前例も手本もない。全部自分で創造して生きていかなければならない。要するに、「歳をとるということはクリエイトする」ことである、と。また「歳をとるにつれ、自由の範囲が無限に広がった」ように思えるという。たとえば100歳を過ぎた著者が冠婚葬祭を欠席しても、誰もとがめはしないし、事前の出欠を強要されないし、行けばたいそう喜ばれる。何かの責任や義理はなく、気楽に生きていける。そう、「百歳はこの世の治外法権」なのだ。

 生涯独身を貫き自由を求めて生きてきた著者ならではの、すがすがしく深みのある言葉が並ぶ。凡人にはとてもその高みに達することはできないが、これらの言葉に触れるだけで、元気が湧いてくる。

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