著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

圧巻のモノクロ写真に、呆然とたたずむ

公開日: 更新日:

 さて、やや立ち入るが印刷物で写真を再現する場合、小さな点の集合に変換する。これを「網点」と呼び、点同士の間隔は「線数」という単位で管理される。線数の多寡が細部の表情を左右する。件の28ページのモノクロ写真は、描写力と情報量が圧巻。濃密な空気感は著者の文章に相通ずる。単なるスミ1色刷りではない。スミ+グレーのダブルトーン。200線以上の高精細印刷。さらに1版、グロス・ニス。暗い部分ほど「テリ」が増す。

 奥付を見ると「プリンティングディレクション」とある。印刷術は「再現術」。再現物(=写真)のハードルが高い場合に登場願う頼もしい専門職だ。高度な知識と豊富な経験がモノをいう。数えきれないほどの情報を一手に引き受け、最終的に印刷「物」へと昇華/定着させるエンジニア。本書は良い装丁の裏に職人あり、のまさに好例である。(小学館 2000円+税)

◇みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  2. 2

    風間俊介がジャニーズJr.のセンターの座を捨てて都立高校受験に専念した意外な理由

  3. 3

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  4. 4

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  5. 5

    侍J井端監督に大ピンチ!ヤクルト村上、阪神才木ら米挑戦組「WBC全員辞退」の可能性

  1. 6

    松重豊は福岡の人気私立「西南学院」から明大文学部に 学費の問題で日大芸術学部は断念

  2. 7

    そうだ、風邪をひけばいいんだ!減量に行き詰まった末、裸同然で極寒の庭へ飛び出した

  3. 8

    カムバック星野監督の“2カ月20kg”の無茶ぶりに「嫌です」なんて言えるはずもなく…

  4. 9

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  5. 10

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校