著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

デジタルが支える、レトロな「味」

公開日: 更新日:

「Plus Documents 2009-2013」Plus Publishing編集

 実験映画の上映組織[+](プラス)のドキュメント集。付属のDVDには4作品を収録。判型はA4より一回り小さく、44ページ。書籍というよりも、パンフレットに近い。

 透明な袋に封入され、店頭で中の様子をうかがうことができない。表紙の上に厚手のトレペが1枚、その向こうにロゴマークとタイトルらしきものがボンヤリ。ワクワク感をあおる、いわゆる「ビニ本」。控えめな外見の裏に「数値化できない質感」が随所に忍ばせてある。ひとつずつ読み解いてみよう。

 昨今、装丁の現場では、触感重視の「素材選び」「加工」が増えたように思う。例えば、10年前なら段ボールなどの梱包材が表舞台に出ることはまずなかった。だが、「名もなき」資材たちもいまや「固有名詞」で「ご指名」されることが少なくない。

 本書の場合、トレペをめくると茶色の厚紙が現れる。大和板紙㈱製、古紙100%使用の「エースボール」。本文用紙は、梱包材や封筒用のクラフト紙(両更クラフトK?)という具合だ。

 製本もひとひねり。週刊誌と同じ「中トジ」だが、通常ホチキス留めのところを「ミシン製本」に。背に茶色の縫い糸が見える。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?