著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

「遊びとムダ」がうらやましい

公開日: 更新日:

「仮名」だけ、筆書きの風合いを強調した書体を使用。加えて文字の大きさも、12Qと9ポをページにより使い分け。通常、1冊の中でのQ数とポイントなど単位の混在は避ける。作業が複雑化し、申し送り事項が増え、分業が難しくなるためだ。

 用紙関連では、表紙にLKカラー・180キログラム。ツルツルのオモテ面を内側(表2・3)に使用。しかも本文よりも10ミリほど天方向が短く、背に折丁の並びがわずかながらむき出しに。本文は折りごとに用紙を変えてある。裏抜けするほどに薄い写真ページは、写真同士の重なりとキャプションとの絡みが面白い。製本は並製ながら「かがりとじ」。背固めが緩く、さぞ開きやすいかと思いきやさにあらず。表紙の厚みが強めのシナリと堅牢さを本書に与えている。

 常識を超えた「贅沢仕様」に不意を突かれる。「図書設計」の意味と意義について、再確認を迫る一冊だ。(YYY PRESS 1600円+税)

▽みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー