著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

「遊びとムダ」がうらやましい

公開日: 更新日:

「GATEWAY2015 01」米山

 オムニバス書籍「GATEWAY」が創刊された。一折16ページにつき、1ユニット。各賞受賞/新進気鋭のデザイナーや写真家、エッセイスト、イラストレーターなどの作品を掲載。「人選と組み合わせ」に編集者のセンスが光る。

 結論めいたことから書いてしまえば、余裕や無駄のないところに文化が息づく訳もなし。編集長を兼ねるデザイナーが書籍という沃野を自ら用意した、うらやむべきケースと言えるのかもしれない。

 自分自身をクライアントにするのは意外と大変だ。1人2役。「やりたい放題」の半面、わがままの「正当性」を確かめ続けなければならない。最後はすべて自己責任。結構タフな状況だ。

 さて本書の場合、「合理性」や「用意周到な設計的態度」などというメンドクサイものとの決別が感じられる。つまり「私の裁量」により「センスと勢い」で自由に突き抜けていきますよ、と。よく見ないと気づかないが、「型破り/規格外」の遊びとムダがひっそりと仕込まれている。野暮を承知で見て行こう。

 まず、判型。A5を基準に天地を14ミリ、左右を5ミリ延ばした変型サイズ。面付けにもよるが、たったこれだけ大きくしただけで相当な「ムダ取り」になる。四六判の原紙の約4割を捨てる計算だ。文字関連では本文に凝った書体をあてる。清和堂明朝L─KS(ストロークがな)。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした