著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

つい、読んでしまう“写真集”

公開日: 更新日:

「SAPEURS-THE GENTLEMEN OF BACONGO」Daniele Tamagni著

「アフリカの、原色のダンディズム」。そんな言葉が脳裏をよぎる。と同時に、もし心に本棚があるとしたら、本書にふさわしい、納得のいく「棚」を見つけた気がした。

 何の予断も持たずに、純粋に写真だけを追ってゆくなら、発展途上の街並みを背景に、ド派手なスーツでめかしこんだ、アフリカ系男性モデルの「写真集」としか映らないだろう。据わりの悪い「場違い感」の連続。

「何なんだろう、この伊達オトコたちは?」「反社会的勢力?」「ヒトは『見かけ』で判断するな、というアピール?」

 こういうオシャレをし続ける、彼らの事情や背景が知りたくなる。思わず釣り込まれ、つい「読んでしまう写真集」……。

 A5変型、ソフトカバー。カバー表1には、上下ピンクのスーツ、ネクタイと合わせた深紅のチーフを胸ポケットにのぞかせ、マゼンタ色のハットをかぶった、くわえ葉巻の黒人男性が闊歩する。その帽子とお揃いの、原色のマゼンタがまぶしい本書の帯には「エレガンスこそすべて。/ポール・スミス絶賛!」の文字。極細のアバンギャルド・ゴシック体で組まれたタイトルSAPEURSの来歴は以下の通り。「おしゃれでエレガントな紳士協会」通称SAPE。そのメンバーたちをSAPEURS(サプール)と呼ぶ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です