【イスラムとは何か】イスラムの台頭はテロの増大だけにとどまらない。いまこそ正面からイスラムに向かい合うときだ。

公開日: 更新日:

「『格差拡大』とイスラム教」保坂俊司著

 現在、世界におけるイスラム人口は約15.5億人で総人口の約22%。これが10年後には25%を超える見込みだという。その勢いが続けば、近い将来、世界人口の3人に1人がイスラム教徒という時代がやってくるのだ。

 これをふまえ、21世紀は「イスラム台頭の世紀」になると予測するのが本書の著者。これまでの近代文明は宗教を「文化の一部」に過ぎないとして矮小化し、無頓着に扱ってきた。しかし21世紀型の文明では宗教が政治や経済と密接に関わる。この新しい文明のパラダイムモデルを提唱するのが本書の狙いだ。

 著者が参照するのは“新世紀の資本論”として世評高いT・ピケティの理論。近代以前、アジアの人口は世界の6割、生産性は65%。ヨーロッパの人口は2割、生産性は30%だった。しかし産業革命以後、欧米の生産力は急上昇し、世界の一部人口が富を独占する体制になった。つまり世界規模の経済格差が恒常化したのが近代だったのだ。これが急速に崩壊しつつあるのが現代。ではその未来は……。

 比較宗教学者による意欲的な文明論。(プレジデント社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です