「すぐそばにある『貧困』」大西連著

公開日: 更新日:

 貧困問題を自分とは関係のない遠い世界として捉える人が多いが、実は日本人の6人に1人が相対的貧困状態にあるという。先進国の豊かな国というイメージの裏で、社会保障制度の予算は次々削減され、個人の負担は大きくなる一方だ。病気や失職、DVや離婚などをきっかけに、普通の生活を送っていた人が困窮に陥ることは決して珍しくない。

 本書は、20代にして生活困窮者の相談支援活動に携わる「NPO法人もやい」の理事長になった青年が出会った、現代日本の貧困の現場をまとめたリポート本だ。

 終電を逃した渋谷でのホームレスとの初めての出会い、友人に誘われなんとなく手伝った炊き出しの現場、路上生活者への声掛け体験、生活保護申請の同行、年末年始の越年越冬等、おそるおそる支援の現場に足を踏み入れた著者の足跡が語られていく。貧困について何も知らなかった若者が路上で体験した生身のやりとりが、今の日本の現状をリアルに映し出している。

(ポプラ社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明