「虚人の星」島田雅彦著

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 子どもの頃、父親に寿司屋に置き去りにされ、そのまま父親が失踪するというトラウマを持つ星新一。成長するにつれて本来の自分とは違う7つの別人格が次々と現れ、交代で意識を乗っ取られるようになる。父親の友人だった精神科医・宋猛の助言のもと、別人格をなんとか乗りこなし外務省の役人となったが、宋から思いがけない提案を受けた。

 一方、自由国民党の3代目世襲議員の松平定男は、北条総理の後ろ盾で44歳にして首相となる。当初、上杉官房長官のお膳立て通りに仕事をこなしていた松平だったが、米国大統領との非公式ディナーの折に内なる声に導かれて大演説を披露する。それはまるで、松平の意思とは別人の霊が天から舞い降りたかのようだった……。

 日本の命運を握る世襲総理とトラウマを背負った多重人格の男との数奇な交錯を描いた風刺たっぷりの野心作。国家の操縦桿を握る総理大臣の深層心理に踏み込んでいくスリリングな展開で一気に読ませる。(講談社 1600円+税)



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