「蜘蛛と蝶」大石圭著

公開日: 更新日:

 実家住まいの歯科衛生士・多岐川瑠璃子は33歳。妹の亜紀菜が夫と別れて子連れで実家に戻ってきたのをきっかけに、そろそろ家を出なければと思い始める。母親からは結婚をせかされ、職場仲間の美和はインターネットで知り合ったサラリーマンと結婚することになっており、職場でも独身なのは瑠璃子だけになってしまう。今まで恋愛に積極的ではなかった瑠璃子は職場と家を往復するだけで、しばらく誰とも付き合っていなかったが、思い立って出会い系サイトにアクセスし、そこで気になった7歳年下の男に恐る恐るメッセージを送る。何度かのやりとりの末、ついに付き合うようになるのだが……。

「履き忘れたもう片方の靴」で第30回文藝賞佳作を受賞してデビューして以来、ホラーから官能まで幅広いジャンルで活躍する著者の最新作。恋に臆病な年上独身女性側の視点と、その相手となる年下の若い男の事情や葛藤を描きながら、思いがけない結末まで一気に読ませる。(講談社 1400円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    朝ドラ「あんぱん」豪ちゃん“復活説”の根拠 視聴者の熱烈コールと過去の人気キャラ甦り実例

  3. 3

    愛知県犬山市にある「もうひとつの万博」に行ってみた “本家”と違いストレスフリー&コスパよし

  4. 4

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  5. 5

    「時代と寝た男」加納典明(16)小熊を屋内で放し飼い「筋肉、臭い、迫力、存在感がぜんぜん違った」

  1. 6

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  2. 7

    緒形直人、中井貴一、佐藤浩市…名優のDNAを受け継いだ3人の息子たちの現在地

  3. 8

    元横綱白鵬 1億円“退職パーティー”の実態…超高級ホテルに太客大集結、札束乱舞のボロ儲け

  4. 9

    長嶋茂雄さんは助っ人外国人のセックスの心配もしていた。「何なら紹介してやろうか?」とも

  5. 10

    “中居正広寄り”の古市憲寿氏と視聴者のズレはどこで生まれた? フジ日枝批判での存在感は早くも過去のものに