「蜘蛛と蝶」大石圭著

公開日: 更新日:

 実家住まいの歯科衛生士・多岐川瑠璃子は33歳。妹の亜紀菜が夫と別れて子連れで実家に戻ってきたのをきっかけに、そろそろ家を出なければと思い始める。母親からは結婚をせかされ、職場仲間の美和はインターネットで知り合ったサラリーマンと結婚することになっており、職場でも独身なのは瑠璃子だけになってしまう。今まで恋愛に積極的ではなかった瑠璃子は職場と家を往復するだけで、しばらく誰とも付き合っていなかったが、思い立って出会い系サイトにアクセスし、そこで気になった7歳年下の男に恐る恐るメッセージを送る。何度かのやりとりの末、ついに付き合うようになるのだが……。

「履き忘れたもう片方の靴」で第30回文藝賞佳作を受賞してデビューして以来、ホラーから官能まで幅広いジャンルで活躍する著者の最新作。恋に臆病な年上独身女性側の視点と、その相手となる年下の若い男の事情や葛藤を描きながら、思いがけない結末まで一気に読ませる。(講談社 1400円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず