何げないワンクリックが現実世界に“格差”を生む

公開日: 更新日:

 マイケル・ファーティック、デビッド・トンプソン著、中里京子訳「勝手に選別される世界」(ダイヤモンド社 1800円+税)では、我々の生活にとって当たり前の存在となったインターネットが現実世界での“格差”を生む未来が、すぐそこまで来ていると警告している。

 例えば、こんな状況を想像して欲しい。出張で初めて訪れたホテルで、予約していたシングルではなくスイートへの無料アップグレードを勧められる。「コンピューターがオンライン上のあなたのコメントや旅行歴を分析し、ブランドロイヤルティーや情報拡張能力が非常に高いと判断した上、あなたの勤勉度から類推して今後も財政面で恵まれると予測したためです。ぜひ当ホテルの優良顧客になっていただきたい」とコンシェルジュ。あなたのネット履歴がデータとして蓄積され、あなたの評判として分析・保管され、特別待遇や利益を得るパスポートのような役割を果たしたわけだ。

 このような世界が、間もなくやって来ると本書は断言する。なにしろ、デジタルデータの保管費用は実質無料レベルまで急落しており、むしろ削除する方に手間と費用がかかる。膨大な量のデータを集めて保管するビッグデータの先にあるのは、それを利用した経済活動だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」

  2. 2

    円安地獄で青天井の物価高…もう怪しくなってきた高市経済政策の薄っぺら

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  5. 5

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  1. 6

    佐々木朗希がドジャース狙うCY賞左腕スクーバルの「交換要員」になる可能性…1年で見切りつけられそうな裏側

  2. 7

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ

  3. 8

    “第二のガーシー”高岡蒼佑が次に矛先を向けかねない “宮崎あおいじゃない”女優の顔ぶれ

  4. 9

    二階俊博氏は引退、公明党も連立離脱…日中緊張でも高市政権に“パイプ役”不在の危うさ

  5. 10

    菊池風磨率いるtimeleszにはすでに亀裂か…“容姿イジリ”が早速炎上でファンに弁明