何げないワンクリックが現実世界に“格差”を生む

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 マイケル・ファーティック、デビッド・トンプソン著、中里京子訳「勝手に選別される世界」(ダイヤモンド社 1800円+税)では、我々の生活にとって当たり前の存在となったインターネットが現実世界での“格差”を生む未来が、すぐそこまで来ていると警告している。

 例えば、こんな状況を想像して欲しい。出張で初めて訪れたホテルで、予約していたシングルではなくスイートへの無料アップグレードを勧められる。「コンピューターがオンライン上のあなたのコメントや旅行歴を分析し、ブランドロイヤルティーや情報拡張能力が非常に高いと判断した上、あなたの勤勉度から類推して今後も財政面で恵まれると予測したためです。ぜひ当ホテルの優良顧客になっていただきたい」とコンシェルジュ。あなたのネット履歴がデータとして蓄積され、あなたの評判として分析・保管され、特別待遇や利益を得るパスポートのような役割を果たしたわけだ。

 このような世界が、間もなくやって来ると本書は断言する。なにしろ、デジタルデータの保管費用は実質無料レベルまで急落しており、むしろ削除する方に手間と費用がかかる。膨大な量のデータを集めて保管するビッグデータの先にあるのは、それを利用した経済活動だ。

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