地に落ちた“理想の共同体”EUの現在 閉ざすヨーロッパ

公開日: 更新日:

「揺れる移民大国フランス」増田ユリヤ著

 昨年の「シャルリー・エブド」事件と「13日の金曜日」テロで、一気にナショナリズムに傾斜するフランス。

 しかしそこはヨーロッパきっての移民大国でもある。日本の観光客に人気のパリ中心部を少し離れると肌の色の違う移民が大半の郊外はいくらもある。本書はそんな地域も丁寧に取材してきたテレビジャーナリストが移民の国フランスの素顔をつづる。

 移民がまず直面するのは経済苦境。それだけに外からの差別だけでなく内側のイジメや不満が高じての原理主義宗教への傾斜などが起こりやすくなる。他方、黒人でも女性でも努力すれば学校の校長になる道も開かれているのが現代フランス。矛盾する諸相に光を当てている。(ポプラ社 780円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 2

    海星・陣内優翔は長崎県初の“完全男”だが…スカウトが「上位獲得」を渋るワケ

  3. 3

    NHK「昭和16年夏の敗戦」は見ごたえあり 今年は戦争特別番組が盛りだくさん

  4. 4

    二階堂ふみ&カズレーザー電撃婚で浮上したナゾ…「翔んで埼玉」と屈指の進学校・熊谷高校の関係は?

  5. 5

    自死した元兵庫県議の妻がN党・立花孝志党首を「名誉毀損」の疑いで刑事告訴…今後予想される厳しい捜査の行方

  1. 6

    永野芽郁が“濡れ場あり”韓流ドラマで「セクシー派女優転身、世界デビュー」の仰天情報

  2. 7

    突然のがん宣告にも動揺なし「で、ステージはナンボでしょうか?」

  3. 8

    長崎を熱狂させた海星・酒井圭一さんが当時を語る…プロ引退後はスカウトとして大谷翔平を担当

  4. 9

    安藤サクラ「柄本佑が初めて交際した人」に驚きの声…“遊び人の父”奥田瑛二を持つ娘の苦悩

  5. 10

    平和記念式典での石破首相スピーチの評判がすこぶるいいが…原稿を下書きしたのはAIだった?